12月22日、いよいよ「M-1」決勝戦が放送される。今年、審査員を務める「NON STYLE」石田明さんは2008年のM-1チャンピオン。よしもと芸人養成所で講師を務めるほか、著書『答え合わせ』(マガジンハウス新書)には、石田さんならではの漫才論や芸人論、そしてM-1論が展開されている。石田さんは現在44歳。2001年にプロデビューし、20年以上のキャリアがある、中堅ともベテランとも言える立ち位置だ。そんな石田さんに、ビジネスパーソンの悩みをぶつけてみた。3つめの問いは「周囲の評価と自己評価の食い違い」だ。(聞き手/コラムニスト 河崎 環)
「一億総お笑い評論家」時代、世間の反応と自分の仕事とどう折り合いを付ける?
【Q:中間管理職をしています。上司だけでなく後輩や同僚などから「360度評価」を受けていますが、頑張っているのに評価されず納得のいかないことも多いです。周囲の評価と自己評価が一致しないとき、どうすれば腐らずにやっていけますか】
(※質問内容は、編集部で作成した架空のモデルケースです)
――自分のやり方が周りの評価となじまない時に、どう腐らずに生き残るか……。中間管理職には頻発する問題です。腐らずに生き残るといえば、2020年、マヂカルラブリーのM-1優勝で「漫才か、漫才じゃないか」論争が勃発し、一般視聴者を交えてある種の社会現象へ膨れ上がりましたが、マヂラブさんは堂々と我が道を貫かれました。いまやSNSの広がりによって、一億総お笑い評論家状態。芸人さんは、時に無責任なこともある「世間の反応」とどう折り合いをつけて自分の芸を磨いていらっしゃるんですか?
石田:これはねぇ、とても難しくて。受け入れなしゃあないんです。たとえばちょっと前、鍋の締めの雑炊でもシャバシャバは否定されていた頃があったでしょ。最近の雑炊ってだいたいチーズがついてくるけど、今はシャバシャバ派もネットリ派も両方許されていますよね。
そもそも万人受けするものなんてごく一部で、万人受けを毛嫌いする人だっている。ところがそこに留まっていると老害になる。新しいものを認めつつ、自分が好きなものを追い求めるしか方法はないんです。