センスが悪いと思われたくなくて「こいつら面白くない」と言ってしまう人もいる
――自分のスタイルに思い入れもこだわりもあって、「俺が一番面白い」と切磋琢磨する芸人さんたちが、他人の意見を受け入れるって本当に身を切るような痛みも伴うんでしょうね。
石田:NSCには、僕だけじゃなくて芸人講師が増えてるんです。この人たちは、生徒に「面白くない」とはあんまり言わない。
芸人は、若い芸人を見て「こいつらはこれを面白いと思ってやってるんや」と。けれど一般的には受けないとなったときに、これをどうやってより面白く見せるか、笑ってもらいやすくできるか、みたいな角度で入っていく。それこそ、なんか可能性ばっかり見てるみたいな。それが芸人です。
好きな人は好きっていう笑いはいっぱいあるわけで。キングコングでは笑えるけどノンスタでは笑えない人だって、いるんですよ(笑)。ただ味覚が違うだけなのに、自分がセンス悪いと思われたくないので「こいつらおもんない」って言っちゃう。ワインが好きじゃないだけなのに、「ワインまずい」「ワインわかんない」って。
――自分がセンス悪いと思われたくない一心で、批判までしなくてもいいですよね。
石田:お笑いがファッションになっている、というのはあります。誰々が面白い、マニアックな芸人さんが好きなんです、なんて発言がファッションになって、ちょっとお笑いがずれているなと。でもマニアック発言って、僕からは「一人で焼肉行くんです」と同じ、「違いがわかります」アピールに見えていて。