「起こらない」ではダメ?
確率を言葉にするのは難しい!
マリさん ということは……?
堀口先生 そう、「39人以下になる確率」と「61人以上になる確率」が合わせてだいたい4.6%くらいしかありませんから、39人以下になる確率は2.3%となるわけです。
マリさん では、30人以下が支持する確率はずっと低いということですか?
堀口先生 その通りです。もっと言えば、±3σの範囲で言えば、35人~65人となる確率が99.73……%となりますので、Aさんに投票した人が34人以下となる確率は、0.14%以下です。つまり、ほぼありえないわけです。
マリさん ということは、さっき私が話した30人となる確率は?
堀口先生 ほぼありえないです。でも、“起こらない”という確定的なものではないので「起こらない確率が極めて高い以上、ほぼ起こらないということにしておきましょう」というニュアンスにしておいた方がよいですね。
マリさん うーん、確率を言葉にするのは難しいですね。「起こらない」ということじゃダメなんですか?
堀口先生 実は、その言葉、大切な気づきを与えてくれるんです。ある科学者がワクチンの危険性についてテレビでアナウンサーに聞かれたとき、こんな発言があったと記憶しています。「このワクチン、危険性はない、と言い切れるんですか?」この質問に対してある科学者は、「危険性はないとは言い切れないです」と答えました。このやりとりを聞いたら、どう思いますか?
マリさん とても危険なものなんだ、と感じます
堀口先生 そうですよね。でも、確率で考えれば、1%、0.1%、0.00001%。どれも小さいけれど、0ではありません。何か物事には必ず危険はつきものです。例えば、滑り台だってそうですよね。滑り台の一番高いところの柵の間から子供が落ちるかもしれません。
マリさん たしかに。そう考えたら危険です。
堀口先生 でも、それをやめますか?
マリさん やめることはしないですね。だって、子供の遊び場がなくなりますよ。シーソーもジャングルジムもすべて撤去になりかねません。
「出口調査=国民の意見」とは限らない
データが偏ってしまう可能性は?
堀口先生 そういうことですね。リスクとリターンを必ず天秤にかけているんです。
マリさん メリットとデメリットの天秤は、日常の中でもよくありますね。