片付けを渋る母に
効果を実感させるテク
介護のために毎日母の部屋を訪れるようになって、今まで以上にものの多さが気になるように。廊下までものがあふれ、「危険だから片付けよう」と何度言っても、「そのうち自分でやるから」と埒があかないので、説得は諦めました。
代わりに始めたのが、困りごとの解決。母の自宅の玄関には、扉の開けにくい靴箱がある上に、周辺には園芸用品や杖などがごちゃごちゃ置かれていて、なにを取り出すにも一苦労でした。そこで靴箱をオープンラックに替え、マスクなどの外出時に必要なグッズは吊り下げ収納に。母も「使いやすくなった」と喜び、片付けの効果を実感してくれたようで、以降は少しだけ協力的になりました。
現在、片付けには渋々応じていますが、一緒に進めるのはなかなか大変です。捨てる、捨てないの確認に時間がかかり、懐かしい品物が出てくると思い出話が始まって作業が中断。何度も同じ話を繰り返すので、聞く方も疲れます。面倒になり、勝手に捨てようとしたら大ゲンカになりました。
母の死後に業者に頼んで片付けてもらった方がよほどラク。それでも一緒に片付けることで大切なものの保管場所が確認できたり、事故予防ができたりとメリットも多いので、今も少しずつ継続中です。
同居ではなく「近くで別居」
お互いにとってベストな選択
介護といっても大したことはしていません。毎朝、自分の朝食作りのついでに母の分も用意。好きなものしか食べない母にタンパク質やビタミンを摂ってほしくて、大豆製品やプロテイン入りの飲み物、野菜たっぷりの味噌汁などを運んでいます。
そのついでに片付け、朝の薬の準備、ゴミ出しや郵便チェックをして、今日の予定をメモして渡します。3食は作れないので、母の昼食と夕食はパンやフルーツなどの偏った食事に。せめて朝だけでもと、栄養のあるものを作っています。
仕事が終わったら、また母の家に立ち寄って安否確認。高齢者の多い団地では、たびたび行方不明者の放送がスピーカーから流れるので、「もしかして」と心配なんです。帰るのが遅いときも多いので母はほぼ眠っていますが、スースー寝息を立てている姿を見ると一安心。母が起きていたら雑談や部屋の片付けをして帰ります。毎日のことなので長居はせず、ササっと引き上げています。