休日は普段はできない掃除や片付けをしたり、朝6時から団地近くの公園でやっている太極拳に一緒に参加したりと母をサポートしつつ、自分も楽しんでいます。ただ、これまでは見守りと困りごとの手助けが中心でしたが、年々できなくなることが増えてきて、この先どうなるかと少し不安も。

 同居ではなく近くで別居という選択は、長年ひとり暮らしを続けてきた親子にとってちょうどいい。味噌汁の冷めない距離が、お互い自分の時間も確保できてベストだったと思います。

介護認定が受けられずやきもき
他人に頼れるものは頼ろう

 介護について勉強することは老後の不安を減らすことにつながるはずという思いもあり、介護の道に進みました。専門学校で学んだことは介護技術だけではありません。介護する人・される人の気持ちに寄り添って心をラクにする対応や、その人らしさを大切にすること。また、社会全体で高齢者を見守る、支えるという視点を知りました。

 母の認知機能が衰え始めたとき、ためらわず地域包括支援センターに相談できたのも学校で学んだおかげ。ひとりで抱え込みすぎて介護虐待や介護殺人につながる事例も多くあり、頼れるものは頼って助けを求めることで、介護される人もする人もラクになると知ったのです。

 母の場合は本人が納得するまで時間がかかり、介護認定がなかなか受けられずやきもきしましたが、今は週2回のデイサービスと週1回の訪問介護を利用しています。

 介護の仕事をしているなら自分でやれば、と思う人もいるかもしれませんね。

 でも実際は難しいもの。親の老化を冷静に受け止められないのです。親の苦しむ姿を見て自分も苦しくなったり、元気なころの親のイメージを捨て切れなかったり、自分の親だからこそ客観的に対処できない場合も。他人だからこそうまくいく介護もあると思います。

 私の前では頼りないけど、人前ではちゃんとしている母。母にとっても私以外の人とのつながりはいい息抜きになります。社会との接点があるのはとてもいいことで、利用できるサービスはどんどん利用して、親子ともに孤立しない介護を目指しています。

 これまでの人生の中でできないことも多く、人から助けられたことが何度もあったからこそ、助けを求め、その分しっかり感謝もしようと思うように。助けてもらうし、助ける側にもなる。お互いさまがいいんですね。