日本人の「沈黙の美徳」や本音と建前を分けた対応は、外国人と仕事をする上では誤解や摩擦を生む可能性がある。外国人にとって自己主張は不可欠なスキルであり、日本人のやり方に違和感を持つ人も少なくない。異文化の壁を乗り越え、信頼関係を築く方法とは?※本稿は、千葉祐大著、Yukoイラスト『今日も異文化の壁と闘ってます:違いを乗り越えて仲間になる!外国人材マネジメントのツボとコツ』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

外国人には通用しない
日本人の「沈黙の美徳」

漫画同書より転載

 以前、日本で働くアメリカ人が、こんな嘆息をもらしていました。

「会議中に同僚の発言を黙って聞いていた人が、会議が終わってから、その同僚の発言をダメ出しするんです。『アイツは何もわかっていない』と毒づきながら、どこがどうダメなのか熱く語り始めるわけです。でも、これっておかしくないですか。なんで本人の前ではっきり言わないのでしょうか。本人に直接意見をぶつけて議論したほうが、間違いなく建設的だと思うんですけど……」

 この類いのエピソード。日本で働く外国人からしょっちゅう耳にすることがあります。外国人を困惑させる、典型的な「日本人のフシギ話」といえるかもしれません。

 和の精神を持つ日本人は、面と向かって異を唱えることを避けようとします。そして、その場では沈黙を貫いておきながら、裏では思いっきり反対意見を口にします。ただこうした2面性のある対応は、外国人にはとてもわかりにくいです。

 もし異論があるなら、その場で逐一、自分の意見を発信したほうがいいでしょう。2面性のある対応は、無用の混乱や不満を生じさせる可能性があります。

 外国人に「沈黙の美徳」は通用しないと思ったほうがいいのです。

人事評価に納得できない
外国人部下からの反撃

漫画同書より転載

 評定面談の場で、部長の田中さんが部下のサムさんに今期の評価を伝えます。