気をつけるべきなのは、こうした自己主張をわがままと捉えないことです。日本では、主張が激しい人は「自己中」と言われます。自己中イコールわがままと決めつけて、独善的な言い分を戒めようとする風潮があります。ただ外国人材の中には、わがままでなくても主張が激しい人がいるのは先述のとおりです。そこは、相手の真意をちゃんと汲み取らないといけません。

 確かに、部下の主張にいちいち対応するのは面倒なものです。ただ、くれぐれも感情的には反応しないでください。「自分勝手なことばかり言うな!」と一蹴したらダメですよ。そこは上司としての真価が問われる場面です。

 まずは相手の意見にしっかり耳を傾け、一つひとつ丁寧に説明と説得を重ねることが大切です。相手の気持ちを理解し、ちゃんと承認していることを伝えれば、話し合いは平行線のままにはならないでしょう。

イライラする感情が
「負の連鎖」を生んでしまう

漫画同書より転載

 上司がブスッとした顔で座っています。明らかにイライラしている様子です。恐る恐る仕事の報告に行った部下が、案の定、餌食となりました。ささいなミスを見つけられ、そこから長時間の説教タイムが始まってしまいました。オーマイガー!

 部下の気分は最悪です。「なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだ」と自分の不運をボヤくことしきり。結局その日は、何をやってもうまくいかない1日となりました。

 感情は伝播するといわれます。笑顔で接すると相手も笑顔になり、不機嫌そうに接すると、相手も不機嫌になります。これは万国共通です。だから上司がイライラしていると、部下の気分も悪くなり、思わぬミスが生じます。そのミスで上司はまたイライラし、部下を注意することになりますから、もう悪循環でしかありません。イライラの感情は、何もよい結果を生み出さないのです。