ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』が、エミー賞で同賞創設以来最多となる18冠を獲得したのに続いて、ゴールデン・グローブ賞でも4冠に輝いた。大成功した理由は何か、ハリウッドの有名エンターテインメント紙『Variety』のベテラン記者に緊急インタビューを敢行。真田広之さんや浅野忠信さんら俳優陣の魅力や凄み、制作陣が巨費を投じた背景について詳しく語ってもらった(一部敬称略)。(国際ジャーナリスト 大野和基)
※本稿はネタバレを含みます
アンナ・サワイの受賞よりも
浅野忠信の受賞がビックリなワケ
――米ハリウッドで制作されたドラマ『SHOGUN 将軍』が、第82回ゴールデン・グローブ賞で、4つの賞に輝きました。作品賞だけでもすごいと思いますが、真田広之さんが主演男優賞、アンナ・サワイさんが主演女優賞、浅野忠信さんが助演男優賞と、俳優陣も受賞しました。なぜ、これほどまでに評価されたのでしょうか。
SHOGUNは、授賞式の放送中に、FX(制作したテレビ局、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下)史上、最も高額な作品であると紹介されました。視聴者側も、どれだけ多くのリソースが投入されたかが、よく分かる壮大なドラマだったと思います。
原作小説(ジェームズ・クラヴェル著、1975年)は、アメリカでも知られていて長く愛されている古典的な物語であり、1980年代にミニシリーズでドラマ化されたこともあります。どちらのシリーズも原作の魅力を十分に引き出していますし、特に今回は現代的なアレンジが加わっていますね。
私は、グローブ賞でSHOGUNが何らかのタイトルを獲得すると確信していましたが、アンナ・サワイが主演女優賞を受賞したことは、それほど大きな驚きではありませんでした。彼女は、Apple TVのドラマシリーズ『Pachinko パチンコ』などに出演しており、すでに西洋のオーディエンスには知られた存在です。
一方で、真田広之や浅野忠信は、彼女ほど有名ではありません。だからこそ特に、浅野が助演男優賞を受賞したことは、私にとってもすごく嬉しい驚きでした。