人を見た目で判断するべきではない。それは前提としつつも、ほとんどの人が他人を見た目で判断している。とくにビジネスシーンでは、見た目や服装で悪い印象を持たれると仕事がスムーズに進まないケースがあるのも事実だ。実際、一流のビジネスパーソンは、メガネの種類から服装、座った時の足の開き方まで意識するという。明日から実践できる第一印象の上げ方をイメージ戦略のプロが解説する。※本稿は余語まりあ氏『行動傾向分析で磨く 個性を活かすリーダーのコミュニケーション』(同文舘出版)の一部を抜粋・編集したものです。
部下から話を聞いてもらえる
リーダーの印象づくりとは?
多様性の時代になり、第一印象だけで決めつけてしまうのはよくない時ももちろんありますが、ほとんどの方はやはり印象に左右されるものです。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアン氏は、人と人とのコミュニケーションにおいて、何が相手に影響を与えるのかを研究し、その割合を発見しました。その「メラビアンの法則」の数値は次の通りです。
視覚情報(Visual):55%……服装、表情、ボディランゲージなど
聴覚情報(Vocal):38%……話し方、声のトーンなど
言語情報(Verbal):7%……話の内容、使っている言葉など
マネジメントにおいても、自分の印象をコントロールするという考え方はとても重要です。どうすれば部下が聞く耳を持つか、どうすれば部下により信頼されるかという視点で考えれば、人の五感に訴えられる見た目や話し方、使う言葉の工夫はとても大切です。
一流のビジネスパーソンは、自身の印象をうまくコントロールしています。たとえば、トヨタ自動車の豊田章男会長は黒縁メガネの印象が強くありますが、実は場面に応じて使うメガネの種類を変えています。華やかな場では黒縁のメガネを、フォーマルな場ではフチなしのメガネをかけるなど、相手に合わせて装いも印象も変えているのです。また黒縁メガネもいつも同じものではなく、ファッション性が強いものやクラシックなものなどを使い分けています。
企業のトップとして頭の先からつま先まで服装や身につけているものだけではなく表情、手の魅せ方、足の開き方までパーツのすべてをコミュニケーションツールとしてフル活用し、相手にどのように届けるかを意識しているのです。