大統領以外にも30回近く弾劾を乱発

 世論が急激に変化した背景には様々な要因があるが、最も大きいのは、共に民主党および全羅道カルテル(全羅道運動圏出身の権力者の総称、参考記事)の実態を、多くの人々が知るようになったことだ。

 尹大統領を弾劾する前から、共に民主党は30回近い弾劾を乱発し、政府機能を麻痺させてきた。尹大統領の権限代理人である韓悳洙首相まで弾劾したため、現在は経済副首相である金相穆氏が大統領代行と首相代行を兼任している状態である。

 憲法裁判所の裁判官任命をめぐっては、共に民主党が金相穆副首相に対し、自分たちに有利な結論を下さなければ弾劾すると脅迫までした。これまで表面化していなかった不正選挙問題も、徐々に明らかになっている。他の国では考えられないことかもしれないが、韓国内最大のカルテルである全羅道カルテルと共に民主党は、国会だけでなく各種社会団体を着実に掌握し、独善的な権力行使を行ってきた。

 さらに問題なのは、共に民主党と全羅道カルテルによる、常軌を逸した権力乱用だ。共に民主党が支配する国会は中立性を放棄しており、尹錫悦大統領を弾劾する理由として、「内乱を謀った」「ロシア・中国・北朝鮮に対する外交がおろそか」などを主張している。

法的手続きを無視した共に民主党の行動に、国民も疑問

 当初はさほど問題視されなかったが、時間の経過とともに共に民主党の不当行為はますます明らかになり、法的手続きを無視した行動も表面化してきた。特に1月3日、捜査権のない公捜処(大韓民国高位公職者犯罪捜査処)が尹錫悦大統領の逮捕に乗り出したことは(大統領は内乱などいくつかの理由を除いて免責特権がある)、国民の怒りを買った。

 本来、公捜処には大統領に対する捜査権がなく、警察や検察も同様である。これを無視して強制的に令状を発行・執行しようとする姿勢を目の当たりにして、国民は尹大統領を弾劾することの正当性に疑問を持ち始めたのだ。

 さらに、共に民主党の鄭清来(チョン・チョンレ、学生の頃、米国大使館を占拠して爆弾を投げ込むテロ行為を行い、国家保安法違反で逮捕された懲役犯)議員が「尹錫悦は内乱罪の裁判を行う裁判所で死刑になるだろう」などと発言。彼らが持ち出した「内乱罪」の真意について、国民は改めて考えるようになった。

 共に民主党が重要案件の処理を急ぐ理由は、早期選挙を行い、党首の李在明(イ・ジェミョン、彼もまた前科4犯の犯罪者である)を大統領に当選させるためだ。国民が正確な情報を知る前になるべく素早く案件を処理し、尹大統領を弾劾・罷免・有罪にして、自分たちの利益を確保しようとしているのである。