12月3日深夜、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、突然「非常戒厳」を宣言。ソウルの国会議事堂周辺には軍隊が出動したほか、反対する市民や、急遽開かれることになった国会に出席する議員が大勢集まり、騒然となった。明け方には戒厳令は解除されたが、尹氏の「自爆」ともいえるこのような事態がなぜ起こったのか。その背景と韓国国民の反応、そして日本への影響について解説する。(韓国在住ライター 田中美蘭)
深夜、韓国で45年ぶりに「非常戒厳令」が出るも6時間で解除
12月3日の深夜、突如、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳令を宣言する」と発表した。理由として「革新野党による国政の妨害」を主張、「行政を正常化させるため」と強調。特に、反政府集会の開催や、労組などによるストライキの禁止、言論、メディアの統制などの点を取り締まるとした。
韓国で戒厳令が発令されたのは、1979年10月に起こった朴正煕(パク・チョンヒ)大統領暗殺の時以来だ。実に45年ぶりということで韓国全土に緊張が走ったが、4日未明には議員たちが国会に集まり、賛成多数で「戒厳令解除を要求する決議案」を可決させた。結局は明け方に戒厳令は解除され、実質6時間で幕切れとなった。
日本でも報道やSNSでは韓国の状況を心配する声が多く、「韓国への渡航などに影響を及ぼすのではないか」といった声も聞かれたようだ。韓国ではこれに関連する報道は断続的に続いているものの、街中など市民の日常生活にはほぼ支障なく、いつもと大きな変わりはない。
まさに「一夜限りの政治ショー」となり、拍子抜けに終わった感もある今回の戒厳令騒動。しかしこの突然の出来事は、今後の韓国政局に大きな波乱を呼びそうだ。