【独自】セブンがおにぎりなど14品目を値上げへ!“独り負け”脱却の切り札・低価格戦略を「わずか半年」で見直す理由Photo by Nami Shitamoto

セブン-イレブン・ジャパンが1月下旬からおにぎりなど14品目の値上げに踏み切ることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。コンビニ「独り負け」の苦境にあるセブンは、昨秋から挽回策として低価格戦略を大展開。低価格のおにぎりは目玉の一つだった。ダイヤモンド編集部が入手した内部資料を基に、コンビニ王者の肝いりの戦略がわずか半年で方針転換を迫られた理由をひもといていく。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

純利益は6割超も減少
王者・セブンの苦戦が続く

 セブン-イレブンの苦戦が続いている。セブン&アイ・ホールディングスが1月9日に公表した2024年3~11月期の連結決算では、営業収益は前年同期比5.7%増の9兆695億円だったものの、営業利益は同23.1%減の3154億円、純利益は同65.1%減の636億円と大きく沈んだ。

 セブンの業績悪化の主因は、海外コンビニエンスストア事業の不振である。インフレや高金利に加え、雇用環境の悪化による消費者の所得減などが影響し、24年3~11月期のセグメント別営業利益では、前年同期比32.1%減の1569億円に落ち込んだ。さらに、国内コンビニエンスストア事業も営業利益は前年同期比8.1%減の1829億円となり、厳しい数字となった。

 一方、セブンに続く大手コンビニの業績は好調だ。ローソンの24年3~11月期の営業収益は前年同期比6.8%増の8694億円、純利益は同14.4%増の524億円。ファミリーマートの24年3~11月期の営業収益は前年同期比1.3%減の3822億円となったものの、純利益は同62.4%増の800億円となっている。つまり、セブンは大手コンビニの中で“独り負け”といえる結果になっているのだ。

 苦戦が続くセブンは24年9月から、低価格の「うれしい値!」シリーズを大々的に展開した。『【独自】セブン、脱・独り負けの切り札「うれしい値!」の効果検証!客数増も“本丸”のてこ入れは不発!?』で解説したように、インフレで強まる消費者の節約志向に低価格商品の投入で対応しようとしたのである。

 セブンは価格よりも価値を重視した戦略で成長を遂げてきた。低価格戦略はセブンの従来の「勝ち筋」を見直す大きな方針転換といえる。目玉の低価格戦略は一定の効果はあったようだ。24年3~11月期の既存店の売上高と客数は前年を上回った。

 しかし、その肝いり戦略も大きな修正に迫られることになった。ダイヤモンド編集部のセブン関係者への取材で、1月下旬からおにぎり14品目の値上げに踏み切る方針が判明。「うれしい値!」のキャンペーンを減速させるという。

 なぜ、セブンは大々的に打ち出した低価格戦略をたった半年で見直すことになったのか。次ページではダイヤモンド編集部が入手したセブンの内部資料を基に、おにぎりの値上げに踏み切る理由に加え、セブンが目指す次の方向性についても明らかにする。