不倫として始まった関係が不倫でなくなる、そういったことが起こるときというのは基本的に似たような条件が揃っている。第1に夫婦仲が悪いこと、第2に不倫関係が自身の結婚相手に知れてしまったこと、第3に「運よく」前の結婚に終止符が打てたこと。逆にこれらの条件が揃わないと、不倫の域を超えた関係は行き場を失い、痛みを伴いながら彷徨うことになる。
女性の例は、離婚には反対していた元夫が親権をとることで渋々応じてくれたために離婚が成立したが、子供のいない別の女の知人はすでに2年近く別居状態で、夫が離婚を拒否し続けている。彼女もまた自身の不倫が旦那の知るところとなったのだが、すでに相手の男性は慰謝料を支払っており、彼女の離婚があまりにもめていることから、2人の関係も暗礁に乗り上げている。
そして「運よく」離婚した方の女性も親権を旦那がとったことから、養育権を持つ彼女は子供と同居はできているものの、再婚に伴う子供の苗字の変更などが自由にできず、再婚に踏み切れずに同棲状態を続けているのが実情だ。
夫婦関係が悪いときの不倫は、自身の婚姻関係よりも不倫のプライオリティが高くなってしまう可能性があり、不倫以上の関係に発展する可能性は高い。
そして、不倫は別として結婚は絶対に守り抜く、という気持ちが稀薄なので、結婚相手に不倫関係を絶対に秘密にするという規律を自らに課していない場合が多いために関係が露呈する可能性が高い。
不倫が不倫でなくなる場合
その不倫は「失格」である
ここまでは単なる傾向だが、第3の条件が満たされるかどうかは相手の意思や状況、相手の家族との関係などいくつものバイアスのある運によるし、もしそれが達成されない場合には、夫婦関係、不倫関係ともに大変気まずく宙に浮いたままとなる。当然、巻き込まれる家族や子供たちにとってもその状態は痛みを伴うし、自分も結婚相手も不倫相手も幸福とは言えない状況に陥ることになる。