悪気がない「いじり」でも
傷つく人と不快に思う人がいる
おそらく先輩アナたちに悪気はなかったのだろう。ただ、バラエティ番組の中の「いじり」でさえ問題視され始めた昨今において、ベテランアナたちと新人アナという上下関係のある中でのこういったやり取りは、テレビ画面を通して見て違和感のあるものだった。
もしもベテランアナたちが「悪気はなかった」とか「新人はいじってあげてなんぼだから」「本人も喜んでいる」などと弁解すれば、火に油を注ぐ結果となっただろう。
この件で、新人アナ本人がどう思っていたかはわからない。ただ、組織内で目上にあたる人たちが「和気あいあいとしたコミュニケーション」だと思っているものが、下の立場からすると決してそうではない場合があり、昨今はそちら側からの指摘が以前よりはしやすくなっている面があるから、視聴者からもこのような反応があったのだろう。
会合や飲み会への誘いについても、そこで行われる内容はもちろん、誘われる側がどの程度、断ることのできる状況だったか気になるところだ。
フジテレビといえば、『ダウンタウンのごっつええ感じ』『とんねるずのみなさんのおかげです』『めちゃ×2イケてるッ』などを思い浮かべる人も多く、特に90年代を生きてきた人は多かれ少なかれ、その影響を受けているといっても過言ではない。
そのフジテレビが今回の一件から、その体質を問題視されている。時代の変化を感じるとともに、悪い膿があるのであれば、次世代に残さずに出し切ってほしいと願うところだ。