組織内で評価が高い人は
「身内に甘い人」かもしれない

 フジテレビでは、公の場で語ることの多いアナウンス部のメンバーを中心に、このように局内(部内)の仲の良さを強調する発言が以前から見られた。確かに和気あいあいとした、打ち解けた雰囲気はあるのだろうが、このような問題発覚時にはそれが諸刃の剣となってしまう。なぜか。

・自分にとっての「いい人」は絶対ではない

 組織内で問題が起こった際に、問題の核心となる人物や周辺の人物が「いい人なのに」「あの人がそんなことをするわけない」と擁護されることがある。ときとしてそれは具体的なエピソードを伴い、個々のエピソード自体は確かに「後輩や部下にも優しい人」や「義理人情に厚い人」であったりする。

 例えばスタッフへのパワハラが取り沙汰された人物が「一緒に仕事をしたことがあるけれど、ニコニコしていて気さくで、下っ端の私にも明るく声をかけてくれましたよ」と擁護されたりすることがある。

 しかし人間とはさまざまな面を持つ生き物なので、ある面で「いい人」であっても、それがすべてとは限らない。自分にとっての「いい人」は、他の人からすると「人によって態度を変える人」かもしれないし、「一度も目を見て挨拶してくれなかった人」である可能性もある。

 仲が良いコミュニティの中にいると、その中だけで見える人格がすべてになりがちで、その人がそこから外れた際にどう見えるかを忘れがちだ。

・「いい人」は「身内に甘い人」かもしれない

 また、組織内での評価が高い人は、それだけ「身内に甘い人」である可能性を考えた方が良い。

 組織内で評価が高いのは、それだけ周囲と円滑にコミュニケーションできたり、上司としての管理能力に長けていたりするからであり、それは組織の団結を強めたり、盛り上げる意味では有効である。しかし問題が指摘された際に、「組織を円滑に回す」人の持つ「組織を守る力」が、自覚はなくとも問題をもみ消す方向に働く場合がある。