失敗の原因をよく分析し
具体的な改善策も提示する

 では、失敗を弁明する際に、どのように話し、どのような態度を取るべきなのだろうか。

 まず、話の内容には具体性が不可欠である。

「どのような判断が問題だったのか」「どの行動が結果に影響したのか」を具体的に示すことが重要だ。例えば、「市場調査が不足していた」だけではなく、「競合の新製品に対する顧客の反応の情報収集が遅れ、顧客のニーズが徐々に移行している状況を正確に把握できなかった」といった具体的な事例を挙げることで、問題点を明確にしていく。そのためには、話をする前に十分に問題の分析をすることが前提となる。

 次に、誠実な態度を示すことが重要である。視線を相手に向け、姿勢を正し、ゆっくりと落ち着いたトーンで話すことが誠意を伝える上での基本だ。

 また、相手の指摘や質問に対しては、「そうですね」「おっしゃる通りです」といった形で一旦受け止めた上で答えることで、弁解ではなく建設的な対話を生み出すことにつなげていく。

 さらに、反省とともに改善策を具体的に提案することも求められる。

 ただ「気をつけます」や「次回は頑張ります」ではなく、「次回は競合製品の情報収集の担当者を増員して、顧客ニーズを価格と多様な嗜好性の2つの側面から把握します。具体的にはこちらのチャートのような形態で競合商品と当社商品を比較して表示し、把握していきます。・・・」など、行動にまで落とし込んだ具体的なプランと例を提示することで、前向きな姿勢を示すことができる。

 これらの失敗対応は、一部には天性の技術を持つ人もいるものの、普通の人は学習してはじめて上手になるものだ。

経営陣でなくとも有効な
メディアトレーニング

 また、主に経営者向けなのだが、不祥事の記者会見などで間違ったメッセージを伝えて企業ブランドのイメージダウンなどを起こさないために、メディアトレーニングという訓練をすることがある。ここでは以下のようなポイントを学ぶ。

準備とシナリオ作成

 失敗の内容や背景を整理し、説明するための明確なシナリオを準備する。想定される質問(厳しいものも含む)をリストアップし、それに対する答えを用意。さらに、社会的影響が懸念されたり、被害者がいたりする場合、その視点を考慮した対応を準備する。

謝罪の仕方

 真摯な謝罪を効果的に伝えるための表現やトーンを練習する。「言い訳」と「説明」の違いを理解し、説明の仕方に注意を払う。身振りや目線、表情を自然にしつつ誠意を表現するスキルを磨く。