失敗しても許される人
致命傷になる人の違い
失敗を弁明するスキルは、キャリア形成において極めて重要なスキルである。
特に幹部候補として期待される人材にとって、失敗した場面でどう申し開きできるかは、その人物の信頼性を測る重要な指標となり、そこで大きな失敗をすると取り返しがつかない結果になることがある。
読者の皆さんも、ある人は失敗をしても許され、別の人は失敗がそのまま失点や致命傷につながっているという例に接し、一体どこに違いがあるのかと一度ならず思ったことがあるに違いない。
先日、偶然、ある会社で社員が複数の上司たちに囲まれて目標未達の説明をしている場面に出くわした。その場には、上司だけでなくの事業部の役員も同席しており、緊張感が漂っている。
彼はまず、「すみません、目標に届きませんでした」と謝罪の言葉を口にした。だが、その謝罪の後、説明が続くにつれ、私は「この人は果たして、本当に自分の意思決定や行動を振り返っているのだろうか」という疑念を抱かずにはいられなかった。
むしろ、彼の言葉や態度からは、失敗の本質を理解しておらず、ただその場をやり過ごそうとしているような印象を強く受けた。彼の話し方や振る舞いには、何か核心を避けているような違和感があった。
目標未達の原因を説明する際も、「市場環境が予想以上に厳しかった」「思った以上に競合が強かった」といった外部要因ばかりに焦点を当て、自身の判断や行動に対する責任は曖昧だった。その場を見て私は、「この人はまた同じ失敗を繰り返すだろう」と直感的に思った。