「京都の日常の食のぜいたく」を満喫

京風ラーメン(塩)和風だしによる澄んだスープは完飲必至の「京風ラーメン(塩)

 最初にご紹介するお店は、二条城に近い中華料理「くっきんぐ えくすぺりめんと 番」。店名は、くっきんぐ(料理)、えくすぺりめんと(実験)、番(常にあるもの)から。店主の野澤裕則さんは、名店「桃李」や「ハマムラ」などで20年間中華料理を学び、さらに妙心寺御用達の精進料理「阿じろ」に7年間という異色の修業経歴です。

 中華料理の原点は、中国伝来の普茶料理という考えをもとに、中華のルーツを探るため、料理のジャンル替えを果たされました。「だしソムリエ」「ナチュラルフード・コーディネーター」などの資格も保有し、屋号の通り、日々研究されながら健康人生を応援したいとのこと。確かにそれが味に表現されています。

 まずご紹介したいのが、スープまで飲み干したくなるラーメン。飲みきっても重たくなく、すがすがしく店を後にできるという印象です。この「京風ラーメン(塩)」と名付けられた極みのメニューは、煮干し、鯖(サバ)、鰹(カツオ)、昆布でだしを取り、鰹節オイルで風味を付けています。

 動物性の肉類は使用していないという離れ業。長崎県崎戸島の五島灘の塩を使い、麺は全粒粉と食物繊維の豊富なフスマを焙煎したものをブレンドしています。栄養素が豊富で、非常にヘルシーなラーメン。切り立てのネギの香りが押し寄せ、和風だしが香る澄んだあんばい良いスープで、歯応え秀逸な麺と共においしくいただけました。

 ラーメン以外にも、「カレー天津飯」は和風だしをベースに淡路産タマネギやフルーツで優しく味を調整し、豚の角煮をトッピング。あんかけにも思える食感の中に、秀逸なカレーの風味とだしが共存して再構築された和風カレーは、京風といっても過言ではありません。「豚角煮の黒酢酢豚セット」は私もよく購入する西陣の林孝太郎さんの黒酢を使用。コクの深さと上品な酸味で、いくらでも食べてしまえるぐらいおいしかったです。

 あくまで「街の定食屋さん」ですが、その高みを目指す研究心は「一流の味」を生み出し、客人を通じて、広く真っ当な食の世界を広めていくのだなあと感心しました。「京都の日常の食のぜいたく」というべきお店であり、京都人が通う貴重なお店です。二条城周辺散策の際にはぜひお立ち寄りください!

くっきんぐえくすぺりめんと番街の定食屋さんに見えますが、料理は最高クラスの技術で提供されます!
くっきんぐ えくすぺりめんと 番
京都市中京区西ノ京内畑町26-5