奇跡的なつながりがあった「京都の中のパリ」
3軒目はパリにあるレジェンドビストロの流れをくむ「コム シェ ミッシェル」。京都グルメタクシーでもよく利用するフランス料理店です。このお店とは類いまれで奇跡的なつながりがありました。まだ私が法人タクシーのドライバーだったころ、人気のビストロがあると食通から聞いて伺ったところ、シェフが高校の同級生でびっくり! 施工主も中学校の同級生でした。さらに、その店名にも聞き覚えがあったのです。フランス中部ローヌ県の私の修業先でも話題になっていて、何度も行こうと思ったお店だったからです。
店主の大川隆さんは、パリ10区にあるビストロノミーといわれるぐらいフランス人に人気の「シェ ミッシェル」で3年間修業、師事したシェフで店主のティエリー・ブルトン氏から「毎日の中の特別」を学びました。帰国後、この師匠に名付けてもらった「コム シェ ミッシェル」を旗揚げしました。友人がその料理を継承し、お手頃な値段で京都で、ということですから願ったりかなったりです。
一見、コース料理のみの対応に見えますが、数多く選べるプレフィックスメニューがあるのも魅力的です。ランチは2970~7590円、ディナーは5720~1万2100円のコース(税込み)。本日の定食2970円のコースを除き、前菜、メイン(肉と魚両方のコースも)、デザートを選べるのですが、それがすごい選択幅なのでして…驚きますよ!
初訪問がランチで、メニューに迷ったらぜひMenu A(3850円)を頼んでみてください。コースはシェフのおまかせで提供されるアミューズから始まって、前菜は「パテ・ド・カンパーニュ」(フランス田舎風お肉のテリーヌ)を。スープもシェフのおまかせで、メインには「国産牛ホホ肉のブイヨン煮 エストラゴン風味」をおすすめします。デセールは「パリ ブレスト」(シュー生地の間にプラリネクリームとヌガティーヌ(カラメルアーモンド)をサンドしたもの)に水出しコーヒーを合わせてください。
これが最もフランスを感じられるベーシックな構成で、気がつけばこの順番に注文していることが多々あります(笑)。伝統的フランス料理の王道であるテリーヌと、この店の真骨頂である牛肉料理の中でもうまみが凝縮されていながら爽やかさであっさりとしたブイヨン煮、そして古典的ながら斬新にも感じるパリブレスト(「自転車の車輪」の意)がまったりとフランスの甘味文化を象徴する風味に。原点回帰、“古き良き”を輝かせる店主の論法に思わずほほ笑んでしまいます。
今流行の創作系フレンチとはまるで異なる構成ですが、これがかえって強い印象を与え、若い方もこぞって訪れています。店内は極めてパリのビストロそのもの。ビジネス街のど真ん中という、ご家族連れはもちろん、観光や接待でも利用できる理想的な立地条件です。ご案内したお客様が、知らない間に私以上にお店と親しくなられていることも多く、やはり本物のパリのビストロの味が、京都人や美食家のたまり場的な存在になるのですね。
京都の中のパリ!皆さんもぜひ!Bon appétit!(ボナペティー:召し上がれ!)
京都市中京区柳馬場通御池下る柳八幡町80‐1