昨秋2回に分けてご紹介した京都「驚きの料理店7選」に続き、この冬、身も心もほっこりする料理店をご紹介します。京都府文化観光大使も務める京都グルメタクシーのドライバーで“グルメコンシェルジュ”の岩間孝志さんが個人的にも訪れる三つのお店に参りましょう。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部、写真提供/岩間孝志氏)
冬のグルメは普段使いの気軽な美食で
――昨年は11月と12月に分けて、あまりガイドブックには載らない、京都グルメタクシーのドライバーだからこそご存じの料理店を7軒ご紹介いただきました。3回目となる今回は、冬のグルメを取り上げてみたいと思います。いまの季節は観光客も少なくなり、京の町も少し落ち着きを取り戻していますが、観光タクシーのお客さんはどのような感じでしょうか。
岩間 「京都は底冷え」という印象が全国からお越しになられるお客様のイメージとしてあります。「温かい料理」「汁物」「鍋料理」というキーワードで要望される方も以前から多くいらっしゃいます。
冬の京都のおすすめの素材もありまして、ゆず、山椒、生姜(しょうが)を使った料理や、香辛料、調味料で温かくなれそうな料理ジャンルもお楽しみいただけます。例えば、向日市の「京都向日市激辛商店街」にご案内して、体の中からホットになっていただいたこともあります。
「ホットスイーツ」もリストアップしていまして、焼きたてのどら焼き、フォンダンショコラ、おぜんざい、焼きたてのパンも時にはオーダーがありますね。
さらに「心の中から温かくなれるグルメ」も日々探しております。カウンターで店主や女将さんとのトークを楽しみ、京都の人との交流から生まれる「人の温かさ」というのも重要なところで、おいしいグルメを楽しみながら、大切な時間を過ごしていただくことをご提案することもあります。
――冬の京都の「温かさ」にもいろいろあると。冬だから「鍋料理を」とお客さんが望まれるわけでもないのですね。
岩間 冬だからこそ「ジェラート」や「かき氷」を要望される方もおられて、それがまた「冬だからこそのフレーバー」で楽しませてくれて、「冬のグルメ」の概念を覆すようなこともありました。京都グルメタクシーは、あらゆるニーズにお応えできるよう日々情報収集に努めております。
――まさにあらゆるニーズですね。今回ご紹介していただいた3軒はどのようなお店ですか。
岩間 まずはパリ市内にあるレジェンドビストロの流れをくみ、「京都の中のパリ」の風味が感じられるレストランです。なんとシェフが高校時代の同級生で、びっくりしました。お店の名前は修業先でもあったそのビストロの師匠に付けてもらったそうです。
――そんなことがあるものなんですね。店名に付いているフランス語のcommeは「のような」という意味合いでしょうから、まさにのれん分けされた感じを受けますね。
岩間 2軒目は和食のお店です。提供されるお料理の幅が広いことに加えて、お昼の定食ではおばんざいが食べ放題になるといううれしいサービスもあります。 3軒目は中華料理がベースで、精進料理の心得もある店主のお店です。店構えは街の定食屋さんにしか見えませんが、お料理をいただくと、その技術の高さに驚きます。和風だしの澄んだスープは必ず飲み干したくなるはずです。
――京都は中華料理も京風でひと味違いますしね。ご自身でも普段使いされているお店を中心にご紹介いただけるということで、気軽に訪問できそうです。京都が一番冷え込む季節ですから、まずは体が温まるスープのお話から伺いましょう。