京都グルメタクシーのドライバーで“グルメコンシェルジュ”の岩間孝志さんが選んだ2024年秋から冬に訪れてほしい「驚きの料理店7選」の2回目。今回はバラエティーに富んだ四つのお店をご紹介いたします。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)
師走のグルメはジビエと地鶏から
――前回は、「京都驚きの料理店7選」【2024年秋版】のうち、京都フレンチと中華、三つのお店をご紹介していただきました。何か反響はありましたか。
岩間 第1弾の公開があったその日にblogのアクセス数が倍増、またSNSのフォロワー数増加も顕著でした。これからレストランへの問い合わせも増えるでしょうね。早くもグルメツアーの問い合わせが複数来ております!
――師走に入って、京都の紅葉も終盤です。例年この時期の「京都グルメ旅」では、どのようなリクエストがありますか。
岩間 やはり、京都は秋深くなりますから「温かくなれる料理」が望まれますね。鍋料理、汁物、そして最近では温かいスイーツを望まれる方もおられます。そして京野菜も秋といえば聖護院かぶや、丹波栗もそうですが、「九条葱」「海老芋」などもこの時期はおいしいので、そういった素材を使う料理を出すお店をオーダーされます。そして近年流行ともいえる「薪窯」「薪焼き」「ピザ窯」を有するレストランも、暖かいイメージがあるので予約を入れさせていただくこともあります。とにかく「秋の京都」もおいしいのです!
――では、残り4軒のご紹介、よろしくお願いします。
岩間 まずは、京都中心部から少し距離はありますが、「かやぶきの里」で有名な南丹市美山町にある「美山ゆるり」をご紹介いたします。京都の老舗フランス料理店「萬養軒」出身の料理人である梅棹さんご夫婦が営むお店で、自ら「一網打尽」という鹿肉などのジビエをうまく流通させるお店も仲間と立ち上げているだけに、「ジビエの臭い時代は終わった」と思わせる料理が提供されます。
低温調理した鹿肉が前菜として出ますが、これがまさにその言葉通りのおいしさ。「牛肉です」と言われてもおかしくないぐらいおいしかったのです。茶碗蒸し、厚揚げ豆腐、天ぷら、あまごなどの山の幸をふんだんに使い、見事なコース料理を構成しています。京都には「美山荘」や「野むら山荘」など野山のおいしさをふんだんに楽しめるお店があるので、ぜひこうした秘境の美食も味わってほしいですね。
「鶏塩鍋」は、匠京地どり(株式会社ささ鳥)により、美山で育てられている地鶏を鰹出汁(うね乃製)で煮出してスープを取り、塩だけで味付けた、あっさりとした鶏と野菜の鍋です。いくらでも食べられる印象で、香りも良く、山菜と鶏が相乗効果でいい味を出し合っています。
もう一つ、「鹿肉を低温調理したものと山菜」も記憶に残る味です。こちらは、硬い外もも肉を低温調理して柔らかくしたローストビーフのような食感。酸味が効いた米油のドレッシングとわらびなど山菜を添えてあります。爽やかな赤身という表現が妥当で、臭みはなく、牛肉のうまみとも異なるおいしさがほとばしる一皿です。
南丹市美山町盛郷佐野前15