「日本の9割のエリアは、今建っているマンションが最後のコンクリートの建物になるんじゃない?」【不動産インサイダー座談会3】Photo:xu wu/gettyimages

全宅ツイによる2025年新年不動産インサイダー座談会、3回目は建設費の高騰によりマンション・ビルの開発が中止になっている問題を取り上げよう。マンションデベロッパーやマンション業界の開発裏事情に詳しいメンバーが見た「新築の建物が消える未来」とは?(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

座談会参加者●全宅ツイオールスターズ
はとようすけ @jounetu2sen 宅地建物取引士(2025年結婚予定)
のらえもん @Tokyo_of_tokyo 湾岸タワマンアナリスト
かずお君 @Kazuo57 3坪の飲み屋から千坪の老人ホームまで作る有活ブローカー
デベマン 新築マンションを建てて売る側の人
全宅ツイのグル @emoyno 都心の不動産を中心に扱うブローカー
あくのふどうさん @yellowsheep 渋谷の不動産ブローカー

郊外にマンションはもう建たなくなるのでは?
建設費高騰で開発中止が続々、日本の建物がどんどん老いていく

──開発サイドから見て、今後の新築マンションの供給はどうなるんでしょう?

デベマン:緩やかに各社とも減りますね。建築費が上がり過ぎて、物件規模が小さくなるほど利益が出づらくなっているので、各社ともスケールメリットがあるタワマンや大規模開発をやりたい。でもそんな順調に土地が仕込めるはずもなく、小規模開発が減り、全体の新築供給も減り、そして値段は下がらない……。

 ほんと、新築マンションってどんどん高級嗜好品になってますよね。デベ(ロッパー)側も買える層を相手にしないと利幅が伸びなくて、それができるのは都心で。なので郊外はほんとつらい。今はどこでマンション開発しても原価がそれなりにかかるので、売価が伸びないエリアだと新規開発もできず、市場が全く更新されない、ってことになるんじゃないかと思います。

かずお君(かずお):長谷工(コーポレーション)の得意パターンは最近どうなの?郊外の板状大規模マンション。

デベマン:長谷工さんも最近値上げがえげつないです。

のらえもん(のら):(1)三井住友建設が青息吐息なのを見て、ゼネコンは原価上昇分よりも値上げし見積もりを出そうとしていると聞きますね。

デベマン:普通にプロジェクトが進んでいる最中でも、建築費の値上げ話がどんどん来るって。

かずお:でもそれをそのまま売価に乗せると、郊外マンションの価格上がり過ぎて客がついてこられなくならない?

デベマン:だから郊外で小規模の土地とかの開発はもう無理ですね。企画できない。(2)建設2024年問題で単純に労務費が上がっているし、サブコンやコンクリ屋さんとかもどんどん業界団体が動いてコストを転嫁して値上げする方向に向かっているので、建築費が下がらないんですよ。

全宅ツイのグル(グル):小型のマンションは着工できてない敷地が増えてますね。都内を歩いてると駐車場のままとか、お知らせ看板がずっとあって着工できてない。最近よく見るのは、当初の単独の敷地で工事費が合わないから隣の土地を買って規模の利益で採算を合わそうとしてるフリをする、というもの。みんな結果はわかってるのに問題先送りみたいな感じがある。

――つまり、マンションも再開発ビルも、これから着工することすらできなくなる物件も増えてくるかも、ってコト…?具体的にはどういうところに影響が出るんでしょうか?