蛇の道はヘビ、建前だけでは本質は決して分からないのが不動産。そんな業界に首まで漬かった業界人がネット上に集う全国宅地建物取引ツイッタラー協会(全宅ツイ)。毎年恒例の新年不動産座談会、1日目は高騰と下落が同居した2024年の居住用不動産相場を振り返る総論をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
はとようすけ @jounetu2sen 宅地建物取引士(2025年結婚予定)
のらえもん @Tokyo_of_tokyo 湾岸タワマンアナリスト
かずお君 @Kazuo57 3坪の飲み屋から千坪の老人ホームまで作る有活ブローカー
デベマン 新築マンションを建てて売る側の人
全宅ツイのグル @emoyno 都心の不動産を中心に扱うブローカー
「高尾のマンションが15年で世田谷並みに
値段上がっちゃった、すごくない?」
――2024年の実需(居住用)不動産の市況はどんな感じでしたか?
はとようすけ(はと):新築マンションが高過ぎて、都内の築10年以内、70平方メートルの中古マンションが飛ぶように成約しました。住宅ローンの金利上昇は、その事実すら知らないお客さんも多くて、販売にはほぼ影響なし。変動金利で0.75~0.825%くらいまで上がったら少しは影響が出るのかな。いま中央区で(1)委任物件預かってますが、お客様が4年前に9000万円で買ったマンションが1.3億円で売り出し中です。東京に人が集まりすぎてる。
のらえもん(のら):もう東京が日本にとって、お釈迦様から垂らされた「クモの糸」ってみんな知ってるから。
かずお君(かずお):高尾まで下れば新築マンションが坪250万円で買えるよ。ただ、これも15年前の世田谷の価格なんだけど。
デベマン:高尾で250万円、八王子が300万円の時代になりましたね。
はと:人気エリアでは半年で相場が違う世界に変わっているね。一方で、築古リノベ物件は売れず、金融機関の担保評価も年々厳しくなってます。業者の方でも以前は古い物件をリノベーションして再販するのがはやってたけど、今は新築マンションとか高価格帯のタワマンの転売・再販にシフトした業者が多いですね。(2)旧耐震はそろそろ融資が気になりますよね。マンションが出始めたのは昭和37年で、もう60年になるからね。今は昭和築にも35年ローンを金融機関は貸してるけど、どこまで貸せるのか…。
さらにこれは東京の端と、そこに隣接する埼玉・千葉の話で、郊外に行くと実需は本当に冷え込んでる。飯田グループは越谷の仕入れを今ストップしてるそうです。
のら:郊外とかはつらいでしょうね。この間聞いたのは、とある郊外戸建てで、そろそろローンブレークしちゃいそうだから買い取ってもらおうとしたら、残債に満たない額を提示されたとか。東京23区で残債割れするマンションなんて聞いたことがない。ルールが違う。
かずお:だって地方行ったらまだ新築建て売り2500万円のところもあるもん。
――日本不動産研究所「不動研住宅価格指数」によると、2020年近辺から東京都・神奈川県・千葉県で中古マンション価格は伸びているんだけど、21年以降完全な右肩上がりを維持してるのは東京都だけで、千葉・埼玉はずっとフラットなんですよね。具体的にはどこのエリアが弱ってきているんでしょうか。