沸騰!エンタメビジネス#9Photo:picture alliance/gettyimages, Yoko Suzuki, Illustration:PIXTA

スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)の施行により、日本のiOSでも米アップルのAppStore以外のアプリストアが解禁された。世界最大規模のアクティブユーザー数を誇る人気ゲーム「Fortnite」および日本を含む世界の大型ゲーム開発のデファクトであるゲームエンジン「Unreal Engine」開発元の米Epic Gamesも、自社ストアを1日にオープンしたが、「アップルは差別的かつ違法な規制をいまだ課している」とティム・スウィーニーCEOは怒りを隠さない。何が起こっているのか。連載『沸騰!エンタメビジネス』の本稿では、同氏がローンチに当たり、報道陣に対して行った合同インタビューを取り上げよう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

アップルは日本のゲーム開発企業を脅し
競合ストアへの参加を妨害している

ティム・スゥイーニー 当社はこの約6年間、世界中の全ての開発企業を代表する形で、アップルと闘ってきました。その中で、日本では大きな前進がありました。政府がスマホ新法を成立させ、アップルやGoogleなどのモバイルプラットフォームに対して、競合するアプリストアや競合する決済システムへの開放を義務付けたのです。これは、当社が非常に長い間望んできたことです。5月1日、当社は日本のiOSでEpic Games Store、Fortnite、Rocket League Sideswipeをリリースします。ただ、残念ながらEpic Games Store日本のローンチに参加する他のゲーム開発企業はゼロで、当社の二つのゲームのみでのスタートとなります。

 これは、日本でスマホ新法が施行された後であるにもかかわらず、アップルはいまだに法令を守らず、日本の規制当局とユーザーに極めて敬意を欠いた対応を続けていることが背景にあります。

 Epic Games Storeは2018年に当初はPC向けにリリースされた当社のゲームストアで、月間アクティブユーザーは7500万人を超え、PCの世界市場で年間10億ドルを超える売り上げを上げています。iOSとAndroidのスマートフォン向けでも展開し、欧州でEpic Games Storeをローンチした際には10社を超えるゲーム開発企業が参加しました。

 ところが日本の多くのゲーム開発企業から「Epic Games Storeに参加するとアップルから報復を受け、iOSの App Store上で進めている別の事業で差別的な扱いを受けるのではないか」と心配する声を聞いています。舞台裏で何が起きているのかは分かりませんが、日本の開発企業は欧州企業よりもアップルをはるかに強く警戒しているように見えます。

 Epic Gamesは、日本を含む世界中のゲーム企業に対して3D技術を提供する世界有数の企業で、日本のトップゲームの多くもUnreal Engineで制作されるなど、日本の開発企業と深い関係を築いています。つまり、小規模なスタートアップが新規市場参入して顧客が付かない、という話ではないのです。開発企業を脅すアップルの威嚇的な戦術は非常に陰湿であり、日本政府がスマホ新法で実現しようとした競争を大きく損なっています。

iOSにおける競合を排除するアップルに対して長年法廷闘争を行ってきたEpic Games。日本のスマホ新法の設立にも影響を与えてきた企業だが、満を持して日本ローンチを図ったEpic Games Storeは、またしても「アップルの卑劣な妨害に遭った」とスウィーニーCEOは怒りをあらわにする。具体的にはどのようなことが起こっているのだろうか。次ページから詳しく見ていこう。