「DeepSeekは中国企業だから西側には広がらない」は
本当か?
ここでDeepSeekが中国企業であることから、それほど西側のビジネスには食い込めないのではないかという楽観的な観測があります。
一部はその通りの事情もありますが、オープンソースなのでDeepSeekベースで開発したAIを日本のサーバー上におけば、日本企業もセキュリティ面は気にせずに使えるでしょう。
また仮にアメリカ政府がTikTokのように禁止したとしても、DeepSeekの開発手法は日米欧すべてのAI企業が真似ていくことになりそうです。
詳しくはこれから専門家が解明していくことになりますが、DeepSeekがなぜ短期間で低コストの開発ができたのかについては、鍵となる複数の開発手法が情報として公開されています。
中国に加えてアメリカや欧州、日本のAIベンチャーが後追いで同じように低コストのAI開発を一斉に始めれば、AI市場はこれまで想定されていたようなGAFAM中心の寡占市場ではなく、低資金のベンチャーでも活躍できるレッドオーシャンに変わるかもしれません。
これらの前提が正しいかどうかが、これからショックがどれほどの規模で起きるのかを左右します。
一方で、DeepSeekショックから2日たったところで、DeepSeekによる技術盗用疑惑が浮上しました。
OpenAIの学習データを規約に反する「蒸留」という手法で利用した痕跡があるという疑惑です。これはAIをよりコンパクトなサイズにできる手法で、DeepSeekが能力が小さいコンピュータでも使えるのはこの蒸留のおかげではないかと推察されます。
盗用が事実であればDeepSeekとOpenAIとの間の訴訟に発展する可能性もあります。
ただ、投資家にとっての問題は結局のところはこのDeepSeekの開発手法が有効かどうかです。
OpenAIは利用規約で蒸留を禁じていますが、このやり方が有効ならばOpenAI自身が蒸留によってOpenAIの生成AIをDeepSeek並みにコンパクト化することもできるでしょう。