半導体の覇者#10Photo:PIXTA

生成AI(人工知能)の拡大を受けた米エヌビディアの躍進で世界の半導体産業の構造は一変した。業界盟主だった米インテルと韓国サムスン電子が凋落し、その一方で、世界の半導体受託製造(ファウンドリー)は台湾積体電路製造(TSMC)への一極集中が加速している。特集『半導体の覇者』の#10では、盟主の座が目まぐるしく交代する「業界激変の全貌」を大図解で解説しよう。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

エヌビディア・TSMCの支配構図で
インテル・サムスンが凋落する必然

 2025年1月、世界最大のテクノロジー見本市「CES」の基調講演で、米エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、AIの爆発的な普及に同社の画像処理半導体(GPU)が果たした役割を強調した。

 生成AIを開発するデータセンター市場で支配的なポジションを確保したフアンCEOは、自動車や産業用ロボットでAIが使われる道筋を明確に示し、聴衆を沸かせた。

 25年に入ってエヌビディアの株価は最高値を更新。時価総額は3.6兆ドル(約560兆円)を超え、米アップルと世界一を争う。25年1月期の売上高は、公表済みの24年11月~25年1月期の3ヵ月計画の中間値を達成すれば1287億ドル(約20兆円)になる見通しだ。

 2年連続で売上高は2倍を超える驚異的なペースで成長する中、エヌビディアは、25年に性能を向上させたGPUの新製品「B200(ブラックウェル)」の出荷を本格化する計画で、価格上昇とともに一段の売り上げ増加は続くだろう。

 AI半導体市場でエヌビディアは「1強」のポジションを盤石にしているが、その最大の恩恵を受けているのが台湾積体電路製造(TSMC)だ。エヌビディアのGPUを独占的に受託製造しており、25年もブラックウェルの量産を一手に引き受けて一段と強大化する見通しだ。

 次ページは、エヌビディアとTSMCが半導体市場の覇権を握る一方で、かつての業界盟主だった米インテルと韓国サムスン電子が凋落する「業界激変の全貌」が一目でわかる大図解を公開する。