もう1つの理由は、「痛み」です。どういうことかというと、先にお伝えしたように、モロー反射が残っている子どもは、感覚過敏になるため、痛覚が鋭いことが多く、ちょっと当たっただけでも過剰に反応して「痛い!」と泣いてしまうことがあるのです。

 緊張感が強いと痛覚も鋭くなります。

 それだけでなく、実際は痛くなくても「痛み」の記憶があれば、それだけで痛みを感じてしまいます。触っていないのに「痛い!」という子どももいます。

 注射をするとき、怖がって泣く子や注射を打つ前から「痛い」と言って泣いている子もいますね。それはかつて注射が痛かった記憶からきている場合もありますし、「痛い」と思って体が緊張してこわばるから、いざ注射をしたときに、本当に痛みも感じやすくなるのです。

 ですから、緊張しいで怖がりで泣き虫なお子さんを叱ったり、我慢を強いたりしてもあまり意味はありません。

 それよりも 「何があっても大丈夫」という安心感の中で、モロー反射をとる動きをしましょう。 モロー反射をとるには、その反射と同じ動きをするのが基本です。具体的には「両手を広げて、あおむけになる」動作が入ったものがおすすめです。バランスボールに座るところから徐々にあおむけになるなど(慣れるまでは必ず大人が後ろで補助をします)、遊び感覚で楽しく行いましょう。

癇癪(かんしゃく)をおこす子

 ひと口に癇癪といってもいろいろなケースがあります。嫌なことがあったとき、思い通りにならないときに癇癪を起こす子どももいますが、むしろ保育園・幼稚園・学校ではいわゆる“いい子”なのに、家ではすぐに癇癪を起こすという子どものご相談を受けることのほうが多い印象があります。

 家で癇癪を起こしてしまうのは、それだけ学校など外で緊張しているからです。子ども自身、外では精いっぱい頑張って頑張って、我慢してストレスがたまり、安心できる家で癇癪となって爆発してしまうのでしょう。