モロー反射が残っている子は、このような感覚からの刺激に敏感なため、常にストレスにさらされ続けている状態なのです。モロー反射が残っていると、子どもの場合はとくに不安になりやすい傾向があります。そのため、何か新しいことに挑戦しようとしても怖がったり、緊張したりしてしまうこともあります。

 モロー反射が残っている場合は、どうすればいいのでしょうか。

 モロー反射で赤ちゃんがするような動きをあえて行うことや、ちょっとだけ“怖い”と感じる動きをすることがトレーニングになります。

 たとえば、あおむけに寝た姿勢から大の字に体を広げ、続いて両手両足を抱えるように小さく丸まるのを繰り返す運動。また、膝を抱えて座った状態(体育座り)で後ろに倒れたり、戻ったりを繰り返す「ゆりかご」など(慣れるまでは必ず大人が後ろで補助をします)。

 遊び感覚で楽しく行うのが基本ですが、モロー反射が残っているお子さんは、体を広げる動作や動きそのものに恐怖を感じることがあります。慣れるまでは大人と一緒に楽しく行えるものを選びましょう。

 原始反射はいくつも同時に残存していることがほとんどで、それぞれの反射は関連し合っています。でも、そのベースに「モロー反射」があるため、モロー反射が統合されると、ドミノ倒しのようにほかの反射が消えていくことはよくあります。

緊張しやすい、怖がり、すぐ泣いてしまう子

 モロー反射が残存している子は、環境の変化に弱いものです。それもそのはず、新しい環境では常に「何が起こるかわからない」といった不安や恐怖がベースにあるからです。暗闇が怖いのも、トイレやお風呂に一人で入れないのも、基本的には同じ理由です。

 私が運営する「子ども運動教室LUMO(ルーモ)」でも、泣いてしまう子どもがいます。理由は大きく2つあって、1つはお母さんなどと離れてしまうこと。いわゆる母子分離不安です。でもこれは教室で楽しく過ごすうちになくなります。