私たちが命の危険を感じたときにとる行動は、「戦う(fight)」「逃げる(flight)」「固まる(freeze)」のどれかで、これは脳幹が担っています。癇癪は、まさに「戦い(fight)」なのです。
子どもなりの危険に対する反応が癇癪だとすれば、安心させてあげるしかありません。それをしないで、お母さんやお父さんが「なんですぐに怒るの!」などと責めてしまったら、安心するどころか敵対してしまいます。
もちろん癇癪を起こしているときに、安心させてあげるなどという余裕はないでしょうし、きれいごとに聞こえるかもしれません。でも、「ここは安心な場所だよ」「私を信じていいよ」という姿勢を、癇癪を起こしていない毎日の生活の中で示していくことです。日常生活の中でそういう接し方、あり方を見せていきましょう。
その上で、“思い通りにできない”でためているストレスを、体を動かすことによって発散させ、原始反射(とくにモロー反射)をととのえていく、体を広げたり、後ろに倒れたりする動きをしていきましょう。
いくら後ろに支えてくれる人がいても、大人だって後ろに倒れるのは怖いですよね。前項の「緊張しやすい、怖がり、すぐ泣く」にも通じますが、この「後ろに倒れるのが怖い」という気持ちと、新しい環境や人とのかかわりにストレスを感じやすいことは、とても関係が深いのです。この動きを繰り返すことで、ストレスに強くなっていきましょう。
集中力が続かない、落ち着きがない子
飽(あ)きっぽい、じっと座っていられずに、すぐに動き始めてしまう、気が散って集中力が続かない……就学前まではそれでもなんとか過ごしてきたけれど、学習が始まる小学校以降はとくに、集中力が続かないと困ってしまいますね。集中力が必要なのは、授業中など勉強だけではありません。私たちは生活の中で、何をするにもある程度の集中力が必要です。
集中力が続かない理由もさまざまあります。とくにモロー反射が残っていて感覚過敏がある子どもは、光や音、におい、触った感覚など、すべてに敏感です。普通なら何も気にならないような太陽の光や友だちの声、洋服のタグなどが気になって集中できなくなってしまうこともあるのです。