つまり、部下が委任されることで何のための委任なのかを正しく理解できるということです。これを疎かにするとその後の歯車がかみ合わず、成長を期待して委任したものの部下のモチベーションは上がってきません。
また、委任したからといって放置してはいけません。
特に委任直後は想定したように進まないこともあるので、安定するまではフィードバックや必要に応じたサポートを行い、後任担当者として安心して任せられる状態まで導くことも留意しておきます。
業務委任は、管理職自身の成長促進にもつながります。
管理職自身もその上司の仕事を担い、ひとつ上へのアプローチが必要です。慣れた仕事、周囲から評価されている担当業務などを部下へ委任することに心理的な抵抗があるとすれば、まずは任せる勇気を持つことから始めましょう。
組織力による活動推進は不可欠
仕事はチームで、成果を上げる
いくら優秀な管理職でも、現代は残念ながら1人では充分な成果の創出が困難。チームワークを高め、部下と共に組織力による活動を推進することが不可欠です。
チームワーク強化の要素としては、次のような事項が挙げられます。
チームワーク強化の要素(1)《目標と目的が確立されている》
「グループ」は仕事を調整するための個の集団であり、一方「チーム」とは共通の目標と、なぜ目標の達成が必要か、その目的が明示され共有されている集団であると言われます。
どこを目指しているのか、何のために目指すのかをメンバーが理解している集団です。
チームワーク強化の要素(2)《役割と責任が明確になっている》
メンバーが担う役割、また責任が定義されているのがチームです。この定義によって業務の重複、抜け、納期遅れなどが未然に防げます。
チームワーク強化の要素(3)《目標達成への執着がある》
個人の都合や面子よりもチームが掲げる目標達成への執着が上回れば、自ずとチームに一体感が醸成されます。こういうチームはピンチをチャンスに変えることが可能です。
チームワーク強化の要素(4)《相互理解と信頼構築ができている》
メンバー間でお互いの思いや考えを理解し合うことはチームに安心、安定を生み出します。メンバーの知識や実績、スキルが大事です。
チームワーク強化の要素(5)《フィードバック出来る環境がある》
プラスとマイナスの両面で、上司がタイミングよくフィードバックすることによってメンバーとの関係性が良好となります。
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岡野隆宏 著