![電力「先物オプション」取引が日本で開始、価格変動の“保険”に有効も思わぬ損失リスク](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/1/c/650/img_1ce8b743d2144775325d79b0f5252fea231269.jpg)
日本で電力先物オプション取引が2月3日から始まった。取引が浸透することで、消費者・生産者共に価格リスク制御のバリエーションが増えることが期待される。しかし、正しい使い方をしなければ思わぬ損失が発生することになる。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)
電力先物オプション取引、日本で開始
価格リスク制御のバリエーション増加
EEX(欧州エネルギー取引所)が2月3日から、電力先物オプションを日本に導入した。オプション取引は既に相対でも取引されているが、先物オプションが広く一般化することで取引が格段に増加することが予想される。
オプションとはオプション料を支払うことで、先々、一定の価格で対象となるものを購入、ないしは売却する権利のことを指し、前者をコールオプション、後者をプットオプションと呼ぶ。
ざっくりいえば、電力を購入している側が電力価格(この場合、日本卸電力取引所=JEPXで取引される電力のスポット価格。以下、JEPX価格)の上昇に上限を設定したいときはコールオプションを「買い」、電力を販売している側が販売価格に下値を設定したいときには、プットオプションを「買う」仕組みである。今のところ、当月を含む9カ月先まで取引ができる商品設計のようだ。
なお、オプションを購入している人の反対側には売る人もいて、コールオプションの売り手は、価格が上昇したときに市場価格よりも安い価格で売却し、プットオプションの売り手は、価格が下落したときに市場価格よりも高い値段で買わなければならない「義務」を追うことになる(ここは重要なポイントだ)。
こうしたオプション取引は、取引の流動性がない市場では成立し難いため、現在、海外のファンドが日本の電力市場に参加し、流動性を供給できる地合いが整ったことも導入の背景と考えられる。
この取引が浸透することで、消費者・生産者共に価格リスク制御のバリエーションが増えることが期待される。現場のニーズに従って導入されるため、このこと自体は好感すべきことだ。