生産性を持続させるため
自分の時間の限界を知っておく

「投資」という言葉を使っているのは、その対象にエネルギーを投資し、(うまくいけば)そのリターンとして何らかの価値を得ようとしているからだ。リストBは、自分が今投資できる時間とエネルギーに基づいて絞り込まなければならない。これには個人差がある。僕自身は5つくらいが適量だと思っているが、小さな子どもがいたり、仕事が忙しかったりする人は、せいぜい3つ、少なければ1つになるかもしれない。いずれにしても、このリストは1桁台にとどめておくのが賢明だ。

 リストAのアイテムをリストBに移したいときは、それに投資する時間とエネルギーを確保しておく必要がある。人は選択肢が多いと、何から手をつけていいかがわからなくなる。

 脳は常に、「今はコレをしているけど、もしかしたらアレもできるかもしれないし、ひょっとしたらソレもできるかもしれない」と考えている。これは危険だ。家のリフォームをしながら、仕事で大きなプロジェクトに取り組み、同時に日本語を勉強し、ブログを立ち上げ、子どものサッカーチームのコーチをしたりしていると、そのどれもがストレスに感じられるようになってしまうだろう。

 エネルギー投資ポートフォリオをつくっておくことは、次々と目の前に現れる「やりたいこと」の誘惑に抗うために極めて重要である。僕たちは何でもできると思いがちだ。でも、それは間違っている。生産性を持続させるためには、自分の時間の限界を知っておかなければならない。時間が無限にある人などいないのだから。

「ノー」と言うことの大切さはわかっていても、実際に言うのは難しいものだ。現実的には実現するのが難しくても、つい「イエス」と言ってしまうことがある。こんな場合に、きっぱりと断るにはどうすればいいのだろうか?僕のお気に入りは、作家でミュージシャンのデレク・シヴァーズが提唱している、「絶対イエスか、さもなきゃノー」という方法だ。つまり、新しく何かを始めるかどうか、人の誘いを受けるかどうかなどで迷ったときは、「絶対にやりたい!」か「やらない」の2択で考えるのだ。その中間はない。