「極狭小の建売住宅」
という苦肉の策
このように、首都圏では、駅から徒歩圏内のエリアだけでなく、徒歩圏外でも総じて地価が上昇しています。そして、資材価格・職人労務単価・円安による輸入製品価格の上昇などで建設費も高騰しています。
そのため、一般的な世帯にとって手の届く価格帯にするため、以前よりも土地を狭くした建売住宅を販売しようという動きが顕著になっています。
その結果として、近年、これはちょっと行き過ぎでは……と思うほど、土地を小さく分割して極狭小の建売戸建をつくる、いわゆる「超ミニ開発」が増えています。
例えば、大田区の極狭小の建売戸建(図表1-8)では、分割前は72.5平方メートルだった土地を35.7平方メートルと36.8平方メートルに2分割。

3階建ての2LDK+サービスルームとして、A区画は延べ面積63.8平方メートル・4980万円、B区画は延べ面積66.8平方メートル・5180万円で販売されていました。
ちなみに、このサービスルームとは、採光・換気などのために有効な大きさの窓の設置が必要といった建築基準法の基準を満たす「居室」(居住などのために継続的に使用する室)に該当しない、いわゆる納戸扱いのために、苦肉の策でこのような記載がなされています。
なお、このA・B区画の3階建ての家は、どちらも2階にLDK、3階に寝室等になる部屋がありますが、トイレは1階にしかありません。不動産情報サイトを見ると、この物件以外でも、1階にしかトイレがない極狭小の建売住宅が販売されています。
そして生み出され続ける
使いにくい土地
この大田区の事例よりもさらに狭小の、土地が30平方メートルを切る事例を墨田区で見つけました。