
粟田貫也 著
近年では、想定外のニーズも生まれています。晩杯屋の既存店で一番売上が高いのは、新宿思い出横丁店です。この店はインバウンド需要が高く、外国からのお客様が多いのが特徴です。「昭和レトロ」な店構えや立ち呑み屋という業態が、日本らしいと受けとめられているようです。
晩杯屋は現在約50店舗ですが、時代のニーズにガチッとはまれば、爆発的に店舗数を増やせるはず。こうした業態も成長させて、さらなる拡大をはかっていきたいと考えています。
このように、自分が利用者として感じていたことや「もっとこうしたらヒットするのではないか」とひらめいたアイデアが、そのままビジネスに直結するのが外食産業です。
私はこのビジネス領域以外だったら、自分の出番はなかったのではないか、と思っています。上場企業をつくることもなかったでしょう。商店街を歩くだけでも、「あの行列はなんだろう」「今、人はどんなものを求めているんだろう」と考えて、事業のヒントが得られるんです。