似た教育観を持つ
家庭が集まる安心感

 私立小学校とは、それぞれ独自の教育環境や理念を持つ小学校です。大学までの一貫校から、高い進学実績を誇る小中高一貫校、互いの個性を認め合い自己肯定感を高め合うキリスト教教育校、中学受験を全力でサポートする中学受験校など、国公立小学校では得られない独自の教育環境があります。

 実際に足を運ぶとわかりますが、設備も含めた豊かな教育環境は、ここに通う小学生を羨ましく感じるものばかりでしょう。初等教育という人格形成期を、充実した環境で過ごせることは何にも代え難いものです。

 また私立小学校は、各校の教育環境や理念に共感したご家庭が志願します。加えて言うなら、試験という学校のフィルターも通過しているので、各家庭がより近しい教育観を持っているのも特徴です。実際に「似た教育観を持った家庭が集まる安心感は計り知れない」という声は、在校生の親御さんから多く聞こえてきます。

 特に、人格形成に最も影響を与える「友達」。家庭環境や価値観の近い集団だからこそ、日々安心して過ごせるというのも本音だと思います。

 とはいえ、私立小学校は決してエリート育成の場ではありません。確かに代々同じ私立小学校に通わせている資産家層もいらっしゃいますが、大半はごく一般的なご家庭ばかりです。「中学受験をさせたくない」「近所の公立小が荒れている」「知り合いのお子様が私立で楽しそうにしている」。こういった動機で私立小学校に興味を持ち始め、いくつかの学校に足を運ぶ中で、それぞれの教育環境や理念に魅力を感じて入学を志す。その結果、「価値観の近い家庭同士」が集うことになるのです。

 また、昨今の私立小学校人気の要因は、コロナ禍での迅速かつ素晴らしい対応も挙げられるでしょう。休校期間における柔軟なICT教育などが注目され、対応が後手に回った公立小学校との差が浮き彫りになったことは記憶に新しいと思います。

 これはICT教育に限ったことではなく、決められた学習指導要領の中で、公平な学校生活の運営や授業を進める公立小学校と、独自の教育理念に基づいて自主運営を遂行する私立小学校では、運営方針が根本的に異なるということなのです。