中学受験と高校受験の
いいとこ取りが「小学校受験」

 実は、この両方のメリットを享受できるのが「小学校からの一貫教育」です。

 私立小学校を擁する学園は、そのほとんどが小中高12年間の一貫教育を行っています。中学受験も高校受験もない12年間は、両者のメリットを総取りできて余りある育ちをもたらします。

 12年間を共に過ごす竹馬の友との絆はもちろんのこと、過酷な中学受験勉強をはじめ、それに伴うスポーツや英語教育の中断も回避できる上、高校受験もありません。実際に、慶應義塾幼稚舎や青山学院初等部に梨園や芸能人のお子様が多く在学しているのも、そんな「好きなことに打ち込める環境」が大きな理由の1つではないでしょうか。

 中学受験の過酷さを目の当たりにして、中学受験を継続するか、高校受験に切り替えるかを迷っているご家庭がある一方で、私立小学校の生徒はその12年間の歩みを着実に重ねているのです。

私立小は1都3県で
100校ほどしかない

 しかし、私立小学校の約4割が集まる一都三県でも、その数は100校ほどしかありません。

 その中には初等教育だけの学校や、内部進学基準が高く実質的には一貫校とは言えない学校もあり、小中高(大)の一貫校となると、80~90校ほど。つまり、そもそもの選択肢が限られているのです。

 しかも、早慶附属(系属)小学校の人気は抜きん出ているものの、良くも悪くも大学は「早慶確定」です。医学部や国立大学志向のご家庭から見れば、さほど魅力的ではありません。さらにGMARCH附属校となると、高学歴の親御さんが「6歳でGMARCH確定?」と懸念するのも、理解できなくもないことです。実際、中学受験で御三家と呼ばれる学校の附属小学校は、雙葉小学校の1校のみとなっています。

 また、たとえば、小中高一貫校(大学受験校)で四谷大塚偏差値60を超える中学に内部進学できる私立小学校は、男子では、東京農業大学稲花小学校1校のみです。知名度のある暁星小学校や桐朋小学校、桐朋学園小学校も、中学校の偏差値は55前後に留まっています(四谷大塚の模試は中学受験最大規模)。

 女子の場合は雙葉小学校に加えて、白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、東京農業大学稲花小学校がありますが、逆に言うとたったの4校、定員186名の狭き門というのが現実です。

 高い学力志向を持って小学校受験を志す場合は、これらの事実をしっかり頭に入れておく必要があります。