それが、人生最初の数年間で、私たち大人と同じように歩き、話し、思いを伝え、自分で食事をとることもできるようになります。この変化、改めて考えると偉業ではないでしょうか!

 さらに、その変化を、「そろそろ歩行を始めていい時期だから、今日も歩行練習しましょうね」「右足出したら、左足!はい!次、右!」などと特訓をするかといったら、しないですよね。それでも、世界中の子どもが(個人差はあれど)大体同じ時期に大体同じような発達を遂げていく。

 それはこの「自ら育つ力」が成す技なのです。どの地域のどの時代のどの子どもにもこのプログラムされている「自ら育つ力」。子どもはこの力に支えられて、自分がいる環境から学んで自分を発達させていくのです。

 子どもは自分で育つ力があるということを知って、その力を信じることで私たちはより子どもの発達を助けることができるようになります。

下に見るのでなく
対等に捉える

 2つ目は、「下に見るのではなく、対等に捉える」です。

 これは私たちが子どもをどう捉えるのかという話です。

 少し私たち大人の場合に置き換えて考えてみましょう。

 もし、友人がいつも自分を見下してきて、何をするにも命令口調、いつも指示してくる人だとしたらどうでしょう。「また会いたい」という思いよりも、「もう会うのはいいかな」という思いのほうが湧いてくるのではないかと思います。

 このように大人の場合に置き換えると、「いやいや、大人とは話が別だよ」とも思うかもしれません。

 確かに、私たち大人と子どもでは、できることや知っていることに大きな差があります。さらに、子どもが生きていけるようにお世話や保護をしているのは私たち大人です。

 確かに知っていることも多いし、お世話もしている。でも、存在に優劣はあるかというと、それは決してないのです。

 1人のこの世界に存在する人間として、あくまでも対等なのです。