「後悔したくない」「失敗したくない」気持ちから、より確実な「成功の道」を提供したり、将来困らないためにとついあれやこれやと大人が子どもに与えたりしたくなるのも当たり前のことかもしれません。
しかし、私たちが考える「将来」と、子どもが今向き合っている「今」には大きな違いがあります。子どもは“将来のために”今を生きているのではなく、あくまでも“今”に向き合い自立と自律のために全力なのです。
極端な例ですが、ハイハイをしている赤ちゃんに「早く自転車に乗れるようになってほしい」と思い、自転車を用意してサポートしても何の意味もありませんよね。
この子が今向き合っていることは「ハイハイをもっとスムーズにできるようになること」です。それであれば、“今、この子が向き合っていること”に私たちも一緒に向き合う。それこそが、子どもの育ちにおいて最も重要なことです。
もちろん将来の姿を見据えて私たち大人が有効なサポートをすることは大切です。
しかし、発達はその段階ごとにクリアすべき課題を積み重ねて、初めて結果として将来の姿につながるものです。発達は連続しています。だからこそ過剰な“将来のための今”は手放し、“今のための今”を過ごす。子どもが今何を求め、何が必要なのか、何に困っているのか。それを見極めた上で育ちをサポートしていくことが欠かせません。
「点」の積み重ねが成長に
焦らず長期目線が大切
4つ目は「点での結果ではなく、長期目線を大切に」することです。
これまで見てきたように、子どもの育ちを助ける子育ては短期で成果が見えるものではなく、長期のプロジェクトです。最短でも自立まで24年かかるのです。
短期の目線も長期の目線もどちらも大切ですが、子どもの育ちの結果は、打ったら響く太鼓のようにすぐに成果がでるようなものではありません。
そのため、点での結果だけではなく、長期目線をもつことが大切なのです。