「事前知識の有無」が差を付ける
同社の代表取締役社長CEO、佐々木裕子さんに話を聞いた。
「ご家族に介護が必要になると、休職や離職が頭をよぎるかもしれません。しかし、仕事を辞める必要はまったくありません。仕事と介護は両立できるのです。事前に情報を収集し、準備をしておけば乗り切ることができます。情報を知っているのと知らないのでは、大きな違いがあるため、介護は一種の『情報戦』だと私は考えています」(佐々木裕子さん、以下同)
準備がないまま突然、家族の介護を担う人が多く、これが仕事との両立を困難にしている。事前に知識・情報を得ているか、また、「介護ありき」でなく、「どのように働きたいか」を前提に介護体制を整える意識を持てるかどうかで、いざ介護となった場合も、かなりの差が出るという。
しかしながら、介護は「自分にはまだ関係ない」と思われ、準備が遅れがちなテーマでもある。ビジネスケアラー予備軍にも役立つ知識・情報を身につけてもらうため、LCATでは、介護リスクを診断した後、受講者のステージに合わせた知識・情報をプッシュ型で提供する方式を取っており、現在、大手企業を中心に累計契約IDは21万以上にのぼる。

実際にLCATを受講した人からは、「リテラシーの有無で体制構築に必要な日数が10分の1になると知って驚いた」「介護が始まったら仕事はできない、という固定観念が崩れた」といった感想が多いという。
実は、佐々木さん自身も、現在89歳になる要介護4の母親がいる、ビジネスケアラーの一人だ。
「母は愛知県で一人暮らしをしており、私は東京で家族と暮らしています。しかも子育て中のダブルケアラーです。しかし、介護を理由に仕事を長期間休むことはありませんでした。以前から情報を得ており、介護保険で利用できることや、保険外で依頼できるサービスなども把握していたからです。そのため、父が亡くなり、母のケアが必要になっても、すぐに介護体制を整えることができました。母が一人で暮らせるように、地域のケアマネージャーさんと密に連携しています」