「不健康な人は『長く寝るほど健康になる』と勘違いしている」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

不健康な人は「長く寝るほど健康になる」と勘違いしている。精神科医が教える“本当に大事なポイント”とは?Photo: Adobe Stock

たくさん寝ても意味はない

 精神科医が教える、早死につながるダメな睡眠パターン3選とは?

「睡眠不足は体に悪い!」という話は皆さんどこかで聞いたことはあると思います。

 ですが、じつは睡眠は時間だけでなく、“寝方”によっても寿命を縮めてしまう可能性があるって知っていましたか?

 私も精神科医として患者さんとお話しする中で、「先生! たくさん寝れば健康になるんですよね」と、長く寝るほど健康になると思っている方が多いことに気づきました。

 ですが、最新の研究では、単に長く寝ればいいわけではなく、睡眠のリズムがとても大切だということがわかってきています。

 今日は、あなたの睡眠習慣を見直すきっかけになるお話を共有させていただきたいと思います。

最新研究でわかった!睡眠と寿命の意外な関係

 アメリカで行われた研究によると、人間は寝不足だけでなく、寝すぎも心臓や血管の病気で亡くなるリスクを高めることが明らかになりました。

 医学ではこのような状況のことを「U字型カーブ」とも呼んだりします。
 つまり、短すぎても長すぎてもリスクが上がる恐れがあり、ちょうどいい睡眠時間(7~8時間)でリスクが最も低くなるという、睡眠と寿命には、まるでUの形をしたような関係性があるとわかったのです。

あなたの睡眠パターン、実は危険かも?

1. 平日は寝不足、週末は寝だめ派
「平日は忙しくて5~6時間しか寝られないけど、週末にたっぷり10時間寝て帳尻を合わせている」という方、実はこれ、とても危険な睡眠パターンの可能性もあるんです。

 このパターンは「ソーシャルジェットラグ」とも呼ばれ、まるで毎週時差ボケを自分自身に課しているように、平日と休日の睡眠リズムがズレてしまって、心身の不調を来してしまうのです。

「週末にたっぷり寝ても、なぜか月曜日は疲れが取れない」と訴える方がいますが、これはまさにこの影響かもしれませんね。

2. 「寝れば寝るほど健康」と思っている
「毎日9時間以上寝ないとダメ」という方、実はこれも要注意です。

 9時間以上の睡眠は心臓病で亡くなるリスクが増加してしまう可能性があるのです。
「え、そんなに影響があるの?」と驚かれるかもしれませんが、長く寝すぎると体の炎症を引き起こしたり、認知機能が低下したりする原因にもなると考えられています。

「寝ても寝ても疲れが取れない」という相談はよく受けますが、実はこれ、長時間睡眠の悪影響かもしれないんですよ。

3. 毎日バラバラに寝てしまう
「今日は夜更かししたから、明日は遅く起きよう」なんて考えていませんか?
 実は、寝る時間や起きる時間が毎日バラバラだと、体内時計が乱れやすく心臓病や糖尿病などさまざまな病気のリスクになるんです。

 それ以外でも、バラバラな睡眠時間は私たちのホルモンバランスを崩したり、ストレスホルモンを余計に出したりして、免疫力が下げてしまうこともあるんです。

 最新の研究によれば、睡眠は量よりも「質とリズム」が重要とも言われています。
 不規則な睡眠パターンや寝すぎは、実は体に大きな負担をかけ、寿命を縮める可能性もあるんです。

 でも心配しないでください。
 今日から少しずつ睡眠習慣を整えていけば、そんな負担も軽減していくことができます。

 同じ時間に寝て、7~8時間の質の良い睡眠を心がけることで、健康も長寿も手に入れられるということでもあります

 あなたも今夜から、健康的な睡眠習慣への第一歩を踏み出してみませんか?

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。の著者・精神科医いっちー氏が書き下ろしたものです。)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。