ただ、自分の視野を広げたいとき、発想力を刺激したいときには、書店を歩きたくなるのです。書店で、普段意識していない分野の情報がパッと目に留まったり、興味を向けていなかったコーナーに面白そうな本を見つけたりすることで、発想に広がりが生まれるような気がします。
一見、無駄に思えるようなことから、新しい発想が生まれることはあるものです。
そのとき、並ぶ本の中からヒントがありそうなコーナーを探し、私がたどり着いたのが、「中小企業診断士」の資格を取るための教本でした。
そして、本の目次の中に、「新規事業」という文字を見つけたのです。なるほど新規事業とはこういうもので、こうやって進めていくのかと、それを読んで初めて具体的に理解することができました。
その本を買い、勉強を進めてみたところ、どうやって仕事を進めていけばいいのか、次第にアイデアが湧いてくるようになったのです。
要するに、何もアイデアが湧かなかったのは、アイデアの材料となる「情報」が圧倒的に足りなかったから。アイデアがなかなか出てこない部下は、必要な情報を入手できていないのかもしれません。
部下に「情報収集」を促す方法
部下に、もっと情報収集に意識を向けてほしいと思うのなら、たとえば、こんなひと言をかけるのを毎日の習慣にしてみてはどうでしょうか。
「今日の日経、読んだ?」
どの新聞でもいいのですが、上司に頻繁にこう聞かれたら、部下も「新聞を読まないとまずいかな」と気になり始めると思います。もちろん部下に尋ねるからには、自分もきっちり新聞に目を通しておきます。
ほかにも、
「本はどうやって探している?」
「最近、どんな本を読んだ?」
というのもおすすめ。何度も聞かれれば「どうも本を読んだほうがよさそうだぞ」という意識づけになりますよね。
また、「その本、面白かったら、今度内容をちょっと教えてよ」とでもつけ加えておくと、実際に読むという行動を促すことにもなります。
これらの質問は言外に、「君はどんな情報源を持っているの?」「新しい情報をきちんと収集してる?」と聞いているのです。
聞かれることで部下は「最近、新しい情報に接していなかったかも……」と気づき、情報収集に意識が向くかもしれません。