脳梗塞で無表情だった夫が大声で泣いた!「思いがけない来客」がもたらした奇跡写真はイメージです Photo:PIXTA

脳梗塞で倒れ、なんとか命を取りとめた夫。その後、脅威の回復力を見せた夫に驚いた医師は「どんどん刺激を与えて」と家族にアドバイス。そんな中、脳梗塞の患者が「刺激を受ける」ことの大切さを痛感する出来事が起きる――。本稿は、北原かな子『夫の脳梗塞から一六年「あきらめない」をやり通す:家族ならではのリハビリの記録』(ミネルヴァ書房)の一部を抜粋・編集したものです。

脳外科の先生たちも
驚いた夫の回復力

 4月15日(編集部注/2008年)の手術は無事終了しました。手術時間は5時間。長い方ではないのかもしれませんが、待つ方にとってはやはり長く感じます。翌朝、病室に執刀医の大熊洋揮先生と嶋村則人先生が来てくださいました。

 大熊先生が、「北原先生、わかりますか?目を閉じてみてください」とおっしゃったら、夫は目を閉じ、「目を開けてみてください」とおっしゃったら、目を開けました。それをみて、2人の先生は「すごい」としばし絶句しました。

 大熊先生は、「明らかに理解していますね。これはすごい」と。さらに「同じ病気であっても、病気になる前の状態が予後に関係するのは、我々もよく経験することなんです。それにしても、あれだけ左の大脳がやられているのに、これはほんとにすごい」。

 思いもよらなかったので、びっくりしました。そして、生来の右利きなのかを尋ねられたので、「そうです」とお答えしたら、「直した訳じゃないですね? それで、左手で食べているわけですか?」とさらに尋ねられます。

「はい。とても器用に左手で食べています。みそ汁もスプーンですくって飲むので」と答えたら、2人の先生たちは「すごい、すごい」と感服し、「これからはどんどん刺激を与えてください」とのアドバイスを置いてお帰りになりました。

 この辺りのやりとりで、私はほとほと夫に感心してしまいました。

「ハルオくん、すごいじゃん。目を閉じて開けただけであれだけ誉められちゃったよ。先生たち、びっくりしてったよ」。

先生の言葉が
生きる希望に

 私たちは素人なので、何がそんなに驚くことなのかはわからないのですが、でも大学病院の脳外科の先生方がこれだけびっくりされているのであれば、それはきっとすごいことなのだろうと思います。そしてこの時の大熊先生の言葉は、その後のわたしたちの生きる希望の柱となりました。

(1)同じ病気になっても皆同じ結果になるとは限らないのかな?
(2)「刺激」を与えると、何かは変わるかもしれなのね?
(3)じゃ、「刺激」ってどうやったらいいんだろう?
(4)今何かできることあるかなぁ?