そう語るO先生はほかにも「あなたは将来の成功が約束されている」とか、「あなたの前世は、どうやら歴史上の大物のようだ」などと言い、信じるかはさておき、まあ悪い気はしない。

 とにかくおしゃべり好きのようで、こちらはただただ「はあ」「なるほど」と相槌を打つばかり。

 気がつけばセッション開始から小1時間がたっていた。次の予定が控えていたし、キリがなさそうなので、こちらから「そろそろ出なければいけないので」と切り出すと、O先生が言った。

「あ、延長しちゃいましたね。ではお代は1万円になります」

 ほとんど詐欺のようなものである。

2年越しのラブコールを経て対面した凄腕霊能者
ある日突然「いま困ってますものね」

 結局、守護霊だの前世だのと言われても、こちらには確認しようがないのだから言った者勝ち。これまでの経験上、インチキの手口は基本的にこれに尽きる。

 逆に言えば、こちらしか知らないはずの事実を口にするなら本物だ。そして長年に渡る活動の中では、そういうケースにもしっかり遭遇することができた。最後に紹介するのは、都内某所でひっそりと活動しているS先生だ。

 実は筆者は、このS先生の評判をもう何年も前から耳にしており、仲介者を通して何度も「ぜひ見てほしい」とラブコールを送っていた。しかし「新規の客は取らない方針」で、2年ほど断られ続けていた。

 ところが、懲りずに懇願し続けていたら、ある日突然「いいですよ、この方、いま困ってますものね」と色良い返事が返ってきた。実はこの時、筆者は離婚、税務調査、母親のがんという三重苦に見舞われていたのだが、仲介者はそれを知るよしもないはずだ。

 このタイミングの妙に驚きつつ、指定の日時にS先生のオフィスへ向かう。現れたのは40代と思われる丁寧な物腰の女性だ。

 S先生はとにかく優しい人で、例えば母親の病状について「いまの主治医の方、本当に良い人に出会えているので安心してくださいね」とか、「大丈夫、完治しますよ」などと心強い言葉をかけてくれる。カウンセリングとして、実に心地が良い。

 一方で、霊的なアドバイスについては、ソフトな口調でこんなことを言う。