ハンドリングの味付けも確実に変わっている。これはサーキットでも確認済み。従来モデルは、とくにターマックモードで面白いように曲がる味付けで楽しかった。だが適度に落ち着いた新型のほうが挙動は乱れにくい。それでいて、回頭性のよさと走りの一体感は十分に高い。決して鈍くなったわけではないのがいい。直進安定性が一段と高まった点にも注目。ステアリングの重さが増し、とくに高速巡行時には操舵支援機能のアシストなしでも安心できる。

パフォーマンスは逞しく、しかも圧倒的に静か
完成度は欧州プレミアム勢と同等以上である

 新型の加速フィールは逞しい。洗練されて、より力強さと扱いやすさが際立つとともに、これまで以上に静かで滑らになっている。

 エンジンがいつ始動し止まったのかは、70km/hほど車速が出ていると他の音にまぎれてまったくわからない。ディスプレイの表示を見ないと確認できないレベルに達している。本当に静かだ。その恩恵で、目玉のひとつであるヤマハと共同開発した高性能オーディオが生きる。臨場感たっぷりのサウンドが満喫できるのがうれしい。

 性能的にも確実に向上した。新開発の駆動用バッテリーは、大容量化と高出力化により単体出力で60%、システム総出力は20%増加し確実に余裕が増した。走りがよくなったうえにEV航続距離が102kmと大幅に長くなった点は、ユーザーが日常的に使い込むほどに満足度が高まるに違いない。

 新型は欧州市場への進出を視野に入れて設計されている。アウトバーンでの180km/h巡行や、最もキツイという130km/hから180km/hまで再加速するような走り方にも十分に対応できるキャパシティを確保した。今回、多少の上り勾配が続くワインディングを走ってみたが、それくらいはものともしないパフォーマンスの持ち主である。

 ドライブモードの選択によって走りの性格が変化するのも魅力だ。これまでやや過敏な印象があったノーマルモードがほどよく抑えられて扱いやすくなったのは歓迎である。パワーモードはこれまでどおり速くスポーティ。サーキットでは、思ったほど変わらない気もしたが、公道で乗ると違いは明白だ。回生ブレーキの強さがきめ細かく選択できるようになっているのも重宝する。