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20代の頃から毎月コツコツと貯金を積み立て、さらに銀行の勧めで投資を始めた45歳の一人暮らし男性。「iDeCoとNISAをやっているが、自分の利益は少ないのでは?もっと生活費を減らすべき?」と相談にやってきた男性に対する筆者のアドバイスは「これ以上節約しないで!」でした。生活費を削るよりも、男性に“今すぐ始めてほしいこと”とは?(家計再生コンサルタント 横山光昭)

投資をきっかけに、家計の無駄を削ぎ落としたくなる

 投資を始め、お金が増えてくる実感が持ててくると、家計を見直して少しでも無駄を減らし、浮いたお金を投資に回そうとする傾向になる人が多いものです。

 家計相談の場面でもそれは多々あります。今まで支出に無頓着だった方が、投資を始めて、数万円ほどの収益が出たくらいでも「お金が増えた」ことを実感するとそうなるのです。無駄を減らして、浮いたお金を投資に回そうと考え始めます。そして投資の金額を増やすことでさらに投資の効果を実感し、いっそう家計の無駄を削ぎ落とそうとします。お金を効率よく増やしながら「家計の健全化」を図るサイクルが、投資をきっかけにできることが、非常に多くあるものなのです。

 ですが、投資にお金を回そうとする気持ちが強いあまりに、過度な節約をしてしまう方もいらっしゃいます。FIREが流行った頃もそうでしたが、極端に食費を減らしたり、電気や水道を使わないようにするなど、いわゆる「節約症候群」とも思えるような状況になってしまう方もいます。食費を削りすぎ、日用品を買い渋り、人間関係も希薄にしてしまい、お金が残ることだけが楽しみになるような状況です。お金を使うことに罪悪感を持ってしまうこともあり、こうなっては、体の健康にも精神的にも害を及ぼしてしまいます。

 投資に前向きなことは大変良いことなのですが、心身の健康を害するような節約をしてまで投資中心に考えるのはよくありません。何のために投資をするのか?その目的を誤ってはいけないのです。