「もっと生活費を削って、より多く投資にお金を入れる」

 このように取り組んでいる中で、昨年これまでのNISAが新NISAとなり、投資の上限額が増えました。世間の評判から、より多く投資にお金を入れたほうが良いと思ったそうです。相談に来られた時にはさらに生活費を削るべく、食事は主食中心、かつときどき一食抜くなどして減らし、交際費も本当に必要のある時しか使わないという徹底ぶり。生活を楽しいと思えているのかなと心配になるほどです。

 Kさんの努力。本当に頑張っていると思うのですが、実は方向性が違うと私は思います。Kさんは収入の4割ほどを投資や預貯金に回しているのですから、もう十分だと思います。これ以上すると、かなり厳しい生活になるでしょう。青白い顔色のKさんには、これ以上食べないとか、食材を偏らせるようなことはしてほしくありません。それよりも、投資の勉強をする。まずこれが先決です。

 投資について知ると、投資したい商品に自分なりの考えを持てるようになるでしょう。それを反映していくことが改善になると思います。また、預貯金でどのくらい持っておくべきかの方針が固まると、今までの預貯金を含め、投資に変えていこうとすることもできるはずです。

 私はよく、生活防衛資金に手を付けず臨時支出にも対応できるお金として、月の生活費の1.5カ月分を安定して持つことと、生活防衛資金として6カ月分を最低限持てたら、それ以上は投資にして良いのでは?と話しています。もちろん、不安であればそれ以上の預貯金を持っていても良いですし、3年以内に使うお金はそれらとは別に預貯金として持っているということも必要です。

Kさんがこれからやるべきこととは?

 私の考え方でいうと、Kさんが今、すぐに使うお金が必要だというわけでなく、今の生活費が15万円とするなら、多めに見積もって120万円(8カ月分)の生活防衛資金を手元に残し、それ以外の預貯金を投資に回しても問題はないということになるのです。これで少ないと思うのなら、1年分ほどの生活費を持ってもよいでしょう。