「野菜の盛り方が減った」ってホントかよ?

ワタミ会長「サブウェイの味は私が決める!」→新サンドイッチを大胆予測してみたPhoto:Diamond

「野菜の盛り方が減った気がする」といった声もメディアの一部から聞かれるが、日頃からサブウェイを利用している筆者としては、その変化を実感していない。

 また、「ワタミは脱居酒屋を進めている」「オーダー方法が複雑すぎるので改革するのではないか」と論じる人もいる。しかし、こうした指摘は、ワタミが本質的に目指している方向性とはややズレているように思う。

 ワタミの現状を知り、サブウェイというブランドの本質を押さえたうえで、ワタミによる変化を語るべきではないか。サブウェイは、ワタミが自信を持って買収した有力事業である。その成り行きを、もう少し冷静に見守る必要があるだろう。

 まず、ワタミの現在の経営状況を理解してほしい。渡邉美樹会長が決算やインタビューで繰り返し語っているように、ワタミの宴会需要は非常に好調であり、「残存者利益」を享受している状況だ。

 2025年3月期第3四半期決算によると、ワタミの国内外食事業、宅食事業、海外事業はいずれも前年同期比で増収増益となり、営業利益率も向上している。

 国内の飲食事業では、売上高が253億円(前年同期比7.4%増)、営業利益が11億7700万円(22.6%増)となった。22店舗を閉店し、利益の出る店舗運営に集中したことが奏功している。

 宅食事業の売上高は309億5900万円(0.5%減)で前年とほぼ同水準だが、価格改定によって利益が38億8400万円(13.6%増)となった。

 海外事業では、売上高が74億4600万円(36.6%増)となり、香港店舗の改善が寄与し、前年の赤字から黒字に転じた。

 一方、農業事業の売上高は4億5500万円(11.8%増)と伸びたものの、9000万円の赤字が続いている。

 コロナ禍で宴会需要は一時的に減少したが、競合の減少により市場シェアが拡大し、全体として堅調に推移している。特に宅食事業は安定的に利益を生み出しており、20年以上赤字が続いている農業事業を除けば、ワタミの経営は順調に回復している。

 そんな中、ワタミは赤字続きの農業事業の黒字化を急ぐための一手として、サブウェイを買収した。