不祥事企業であっても、事実と異なる誤報・虚報が腹に据えかねることはある。だが、うかつに反論や意図的リークをすればメディア・世論の反発は必至。第一の目標である事態の沈静化が遠のくばかりだ。

 フジテレビの役員・社員すべての皆さんに声を大にして申し上げたい。ひとまずは、すべての批判を甘んじて受け入れる覚悟が必要なのだと。

 ましてや、週刊文春を訴えること、または、それを匂わしてけん制することは下策中の下策と言わざるを得ない。

 訴訟となれば中居氏と女性のトラブルの機微な部分が表に出かねない。プライバシー保護の観点で懸念があり、“人権配慮に欠ける判断”として、世論から再び非難を浴びる恐れが大きいからだ。

 名誉挽回(ばんかい)は信頼回復の後で、長い時間をかけて取り組むべき。くれぐれも情勢判断を誤らないでいただきたい。

世論の理解を得るための
4つの“落としどころ”

 フジテレビ問題の具体的な“落としどころ” として、筆者が考えるのは、以下の4点だ。

(1)可能な限り踏み込んだ調査結果の公表(第三者委員会側と要調整)
(2)女性への直接謝罪(トップ自身が対面で経緯説明と謝罪。出来れば会見前)
(3)過去の経営陣の責任明確化(関心の高い日枝氏の処遇を含む)
(4)社内モニタリング体制の構築(改革の進捗を監視・公表する仕組みの導入)

 世論の理解を得る面では、(2)の「女性への直接謝罪」が重要なターニングポイントになるだろう。女性の気持ちへ寄り添う真摯な姿勢こそが、世論の怒りを和らげるカギに違いない。

 以上、厳しいことを書いたが、実はどれも、かつて三菱自動車が不祥事から再生を果たす過程で選んだ“処方箋”だ。これらを織り込んだ上で、幕引きシナリオを描いていただきたい。

 フジテレビが過去を清算して社会の信頼を取り戻し、一日もはやく 経営再建に歩みだすことを願っている。