さらに、再発防止策として、役員・社員が守るべき会食・会合ガイドラインを定めたことを明らかにした。他にも処分厳格化などが導入され、第三者委員会調査の結果を待たずに取り組みを進める姿勢が示された。

 質疑は、“10時間超会見”が嘘のように淡々と進み、約1時間で終了した。

 初動でのミスが解消されたことで、現経営陣の取り組みに対し一定の信頼感が戻ったように見える。3月末の第三者委員会調査の結果公表へ向けたよい“地ならし”となった。

幕引きはいつも
“負けるが勝ち”

 メディアやSNSの“炎上”も一旦はおさまり、広報対応も見直された今、フジテレビ問題はどんな幕引きを迎えるのだろうか?

 ヒントになりそうなのが、最近の週刊文春の論調の変化だ。

 フジテレビ社員の関与という核心部分での記事訂正の後、週刊文春に対し、謝罪会見を求める世論が盛り上がった。SNSでも「文春廃刊」がトレンドワード入りした。メディアでは「フジテレビが名誉棄損で訴えるのではないか?」との臆測が飛び交った。

 実際には謝罪会見は開かれなかった。だが、冒頭で書いた通り、週刊文春は2月27日発売号で、“両論併記”の記事を掲載するまでトーンダウンした。

 さらに、追及のフォーカスを中居氏の「性的トラブル」から「フジの闇」、つまりフジテレビの社内対応へとシフトした。それはあたかもすり合わせたかのように、清水社長が同日の会見で表明した問題意識と一致した。

 訴訟手続きで言えば、原告と被告双方の主張を付き合わせ、争点整理が出来たことになる。両者の問題意識が近づき、“落としどころ”、つまり妥協点が見えてきたといえよう。

 フジテレビにとっては、ようやく幕引きの仕方を考えるべき段階となった訳だが、なによりも忘れてほしくないのは、危機管理広報は“負けるが勝ち”であることだ。