
個人の問題か、会社の問題か
問題のレベルを判断する方法
会社内で発生する問題が、個人の問題として処理されるべきか、部門(セクション)の問題として処理されるべきか、あるいは会社全体の問題として処理されるべきか――その切り分けは極めて重要である。
これを無視し、なんでもかんでも経営者の責任として非難するのは筋違いだ。また、本来は会社やセクションの問題であるにもかかわらず、個人の問題に矮小化することも重大な誤りである。
今回は、問題を個人レベル、部門(セクション)レベル、会社全体の3段階でどう切り分けるかについて考えてみたい。
さらに、これらの視点を踏まえて、ジャニーズ事務所の元経営者の問題が「会社全体の問題」であった理由を考察。最後に、中居正広氏の女性トラブルから派生したフジテレビのコンプライアンス問題について見ていく。
一連の問題を受けてスポンサー各社がCMを引き上げるという事態が起こっているが、CMの再開が可能かどうかを判断する観点を整理する。
3段階の問題レベル
個人、部門(セクション)、会社全体
まず、問題の切り分けを考えてみよう。
〈個人レベルの問題〉
特定の個人(複数を含む)の行動や意図によってその問題が発生し、他のメンバーや部署が直接関与していない場合は、「個人レベルの問題」だ。
・個人が組織のルールや方針に反して独断で行った行為である
・経営陣や上司は予防策を講じていたが、問題そのものの発生を事前には把握していなかった
・問題発覚後、あらかじめ決められた対応方針にのっとって組織的に対応がなされた
・再発防止策として個別の処罰や教育研修などが実施された
このようなケースでは、組織としての統制が基本的に機能しており、特定個人の独断行為と認定できる可能性が高い。そのため、責任は主として行為者本人に帰すことが相応しい。ただし、個人を採用・配置した管理責任や人事評価のあり方については、組織としての検証が必要となる。